劇場公開日 1986年6月14日

パズル・スリラー ガバリンのレビュー・感想・評価

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3.0B級の皮をかぶったA級の職人ホラー

2025年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

子供の頃にテレビで観て以来、なぜかずっと心に残っている映画です。ホラーというより、どこか懐かしさを感じる不思議な作品で、今回でおそらく三度目の鑑賞になります。

物語は、ベトナム帰還兵で小説家の主人公が、叔母の遺した屋敷に住み始めるところから始まります。戦場で救えなかった仲間の記憶、行方不明になった息子、うまくいかなくなった妻との関係──そんな心の傷が「家」という舞台を通して形を取り、主人公を襲っていきます。鏡の奥に広がる異世界、ロープで降りていく闇、そして太った女のクリーチャー。どれも現実と悪夢の境目が曖昧で、当時子供ながらにとても怖かったのを覚えています。

改めて見ると、B級ながらも技術的にはしっかり作られています。照明は明るい場面ではハイキー、暗い場面ではローキーとコントロールが行き届いており、冒頭にはロングテイクの導入もあります。飛んでくる鎌などの小道具アクションも紐が見えないよう巧みに撮られていて、映像的な精度が高いです。クリーチャーの造形も手作業の質感があり、80年代ホラーらしい職人技を感じます。

ストーリー自体は荒唐無稽ですが、ベトナム戦争の後遺症や家庭崩壊といった1980年代アメリカ人男性の葛藤を、ホラーという形で具現化した映画でもあります。鏡の奥に潜む異世界は、主人公の内面世界そのものであり、戦友の怨霊や異形の女たちは、彼の罪悪感と喪失感の象徴として現れます。

一言でいえば、B級の皮をかぶったA級の職人ホラー。
派手さはありませんが、どこか温かみがあり、観るたびに当時の感覚が蘇ってきます。B級なお話ですが、なぜか好きな一本です。

鑑賞方法: U-NEXT

評価: 60点

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neonrg

2.5作家が主人公

2025年2月5日
iPhoneアプリから投稿
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たろぽん