パズル・スリラー ガバリン

劇場公開日:1986年6月14日

解説

叔母が自殺した館に引っ越した作家が遭遇する怪異現象を描くホラー映画。「13日の金曜日」を監督し、その後のシリーズの製作を手掛けたショーン・S・カニンガムが製作、同シリーズの2、3のスティーヴ・マイナーが監督。フレッド・デッカーの原案に基づいてイーサン・ワイリーが脚本を執筆。撮影はマック・アールバーグ、音楽はハリー・マンフレディーニ、特殊視覚効果はドリーム・クウェスト・イメージが担当。出演はウィリアム・カット、ジョージ・ウェント、リチャード・モールほか。本国公開題名はHouse。

1986年製作/アメリカ
原題または英題:Goblin
配給:東宝東和
劇場公開日:1986年6月14日

あらすじ

エリザベス叔母(スーザン・フレンチ)が首つり自殺をした。甥の作家ロジャー・コップ(ウィリアム・カット)は館を売るつもりだったが、不動産屋と見廻ってるうちに気が変わってしばらくこの館に滞在して本を書くことにした。彼には女優のスーザン(ケイ・レンズ)という妻がいたが、息子ジミー(エリック・シルヴァー、マーク・シルヴァーの2人1役)が行方不明になったこともあって離婚していた。隣人のハロルド(ジョージ・ウェント)は彼が作家と知ると、何かとおせっかいを焼きたがった。ロジャーは叔母の亡霊が「この家は呪われている」と言うのを聞く。彼はヴェトナム時代の回想を書き始める。戦場ではベン(リチャード・モール)という戦友と行動をともにしていた。館では壁に飾ってあった巨大な魚が動き出したり、植木ばさみやナタが彼に向かって飛びかかってきたりする。スーザンが様子を見にくるが、実は醜いモンスターで彼に襲いかかってきたので、銃で撃つとまたスーザンにもどった。その後、再びモンスターになった死体を切りきざんで庭に埋めるが、なかなかそいつはくたばらない。近所に住むグラマー美人ターニャ(メアリー・ステーヴィン)が彼に息子を預けて外出する。例の死体の手が少年の背中にはりついているのを見て、あわてるロジャー。12時になると2階の押入れから別の怪物が出現する。ロジャーはベンが敵に射たれ、殺してくれと頼まれるが、出来ずに助けをよんでくると去りかけたら、ベンは敵に発見されて連れていかれたことを思い出す。ロジャーはジミーの助けを求める叫び声を聞く。叔母の描いた絵からヒントを得て洗面棚の鏡を割って中の暗黒世界へ落下。竹のおりに入れられているジミーを救出する。そこヘベンの亡霊が現われ、「お前が俺を殺さなかったので、奴らに拷問されて苦しんだ。恨んでいるぞ」とどなる。始めはひるんだロジャーだったが、息子のことを思うと敢然と亡霊に向かい、亡霊の身体に手榴弾をくっつけて爆破。そこへ、スーザンがやってきて、ジミーと抱きあう。

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映画レビュー

3.0 B級の皮をかぶったA級の職人ホラー

2025年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

子供の頃にテレビで観て以来、なぜかずっと心に残っている映画です。ホラーというより、どこか懐かしさを感じる不思議な作品で、今回でおそらく三度目の鑑賞になります。

物語は、ベトナム帰還兵で小説家の主人公が、叔母の遺した屋敷に住み始めるところから始まります。戦場で救えなかった仲間の記憶、行方不明になった息子、うまくいかなくなった妻との関係──そんな心の傷が「家」という舞台を通して形を取り、主人公を襲っていきます。鏡の奥に広がる異世界、ロープで降りていく闇、そして太った女のクリーチャー。どれも現実と悪夢の境目が曖昧で、当時子供ながらにとても怖かったのを覚えています。

改めて見ると、B級ながらも技術的にはしっかり作られています。照明は明るい場面ではハイキー、暗い場面ではローキーとコントロールが行き届いており、冒頭にはロングテイクの導入もあります。飛んでくる鎌などの小道具アクションも紐が見えないよう巧みに撮られていて、映像的な精度が高いです。クリーチャーの造形も手作業の質感があり、80年代ホラーらしい職人技を感じます。

ストーリー自体は荒唐無稽ですが、ベトナム戦争の後遺症や家庭崩壊といった1980年代アメリカ人男性の葛藤を、ホラーという形で具現化した映画でもあります。鏡の奥に潜む異世界は、主人公の内面世界そのものであり、戦友の怨霊や異形の女たちは、彼の罪悪感と喪失感の象徴として現れます。

一言でいえば、B級の皮をかぶったA級の職人ホラー。
派手さはありませんが、どこか温かみがあり、観るたびに当時の感覚が蘇ってきます。B級なお話ですが、なぜか好きな一本です。

鑑賞方法: U-NEXT

評価: 60点

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neonrg

2.5 作家が主人公

2025年2月5日
iPhoneアプリから投稿
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たろぽん