「面白いのだが、欠点がある」テキサスの五人の仲間 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
面白いのだが、欠点がある
総合:75点
ストーリー: 70
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 65
音楽: 65
周到に仕込まれた罠。非常に長い時間かけて練られた作戦である。本当に見事な大逆転勝利であり、相手にそれを全く悟らせないばかりか、負けても気持ちよく納得すらさせているのは天晴れで痛快。詐欺は勝つための作戦と準備が大切なのは言うまでもないが、最後の処理をどうまとめてつけて、いかにうまく撤退するかがまた重要である。その点で本作は抜かりが無いし、騙した相手を負けてなお気持ちよくさせている分、結末だけならばある意味では大傑作映画「スティング」以上と言えるかしれない。登場人物の設定と演技も良かった。
ところが残念ながら物語には一つ重大な欠点がある。それはヘンリー・フォンダに大逆転につながる最強の手がやってきたときのこと。フォンダは一生に一度あるかないかの手で、これで勝てると思っている。だが賭ける金が無い。勝てるのに金が無いから賭けにならず負ける。これはいい。
しかしこのとき、相手の五人にもいい手がやってきているということが問題なのだ。どんなにフォンダにいい手がやってきても、相手の手が弱ければさっさと降りられて勝負は流れてしまう。フォンダに最強の手がやってきて「絶対に勝てる」と言っているとき、五人の相手全員にも掛け金を積み上げる気になるようなそれなりに強い手が偶然にもやってくるというのは考えられない。どうやってフォンダはいい手がやってきたと宣言したときに、相手も掛け金を積み上げるほどのいい手が本当に偶然に来ていることを知ったのか、あるいはそうなるように仕込んだのかが全く触れられていない。だから起こる筈の無い奇跡でもない限り、この掛け金の積みあがる大逆転に繋がる大勝負が出来ないことになる。これは物語の中心に関わることなので致命的である。
それでも悪い映画ではないが、これがなければ高得点をつけて文句無く傑作映画と言えたのに、映画と異なり物語にあと一つ詰めが足りなくて残念でした。それと何故五人は恨まれ騙されるのかについてももっと時間を割いて欲しかった。