劇場公開日 1958年7月15日

「現代でも通用するほどの脚本」草原の野獣 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5現代でも通用するほどの脚本

2015年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合70点 ( ストーリー:80点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 西部劇といえば、町を牛耳る悪の牧場主がいて、主人公がそれと対決するというのが定番。だがこの物語は、なんと町を牛耳る悪の牧場主側が主人公で、それが脇役である正しい者たちと新しい時代の秩序に対決を挑まれる。それもただ銃で撃ち合いをするというのではなくて、20世紀を迎える直前の社会で、法での対決であったり生き方での対立であったりする。その逆転の発想が独特でまず面白かった。

 牧場の父親は、法の支配など無い時代に力だけを頼りに大地を切り開き、先住民や侵入者と戦い、町を作りあげたという自負がある。だから、力に頼り思うとおりに強引に指導力を発揮する。先住民に嫌悪感を持ち、多少荒々しくても自分の力で自分のやりたいことを成し遂げる。それで全てを成功させて今の地位を築いたのだから、例え力よりも秩序で物事を治める時代がやってきたとしても、今さら急に考え方は変えられない。
 そんな男の息子達は、一人は父親そっくりで昔ながらの力で自分の望みを強引に手に入れようとし、もう一人は新しい時代の価値観をもって生きようとする。そのような世代格差と価値観の差が露わになっていく過程が、厳しくもありつつもアメリカの歴史の移り変わりを映し出している。1958年にこれだけの話を描けたのはたいしたものだと思う。

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Cape God