恋しくて(1987)のレビュー・感想・評価
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僕の未来がよく似合う
初めて観たのは高校生の時のこと。レンタルビデオでだった。当時、僕はレンタルビデオ店に行くようになり始めた頃で、なぜ『恋しくて』を借りたのか今となっては覚えてないが、多分パッケージを観て主演女優のメアリー・スチュアート・マスターソンが好みのタイプだったからなんではないかと思う。その後、映画館でリバイバル上映がかかり(併映はこれまたリバイバル上映の『トップガン』)、もちろんそれも観に行った。さらに低価格再発売ビデオを買い、DVDに買い替え、今に至るまで何度も何度も観てる映画である。
内向的な画家志望のキースと、彼に秘かな想いを寄せる幼なじみの男っぽい少女ワッツ、キースが憧れる高校のマドンナのアマンダという3人の高校生が織り成す青春恋愛映画の傑作で、主演のエリック・ストルツとメアリー・スチュアート・マスターソンが素晴らしい。米国映画のすごいところはこういう娯楽映画に超メジャーな人気俳優ではなく、ストルツやマスターソンのような若き演技派性格俳優を持ってくるところ。そして何度も観てると気づくんだが、脚本が本当によく練り込まれてる。ストーリー展開も人物配置も絶妙で、余計な人物が1人も出てこないし、逆に足りない人物もいない。1つ1つのエピソードが過不足なく描かれていて、ここはいらないなと感じるところがほとんどなかった。
台詞もウィットに富んでいるし、映像にもセンスが溢れてる。特にラストからエンディングにかけては、台詞・映像・音楽全てが完璧だ。上のタイトルは、最後にストルツ演じるキースがマスターソン演じるワッツに言う台詞だが、何度聞いてもしびれる。個人的映画名台詞ベスト1だ。エンディングに流れる「Can't Help Falling In Love(エルヴィス・プレスリー『好きにならずにいられない』のカバー。大幅にアレンジしてるので言われないと気づかない)」も素晴らしい。役者たちも全員が良い。ストルツは本人以上に(演じている)キースだし、マスターソンも本人以上に(演じている)ワッツなのだ。この映画は青春恋愛映画のちょっとした古典として歴史に残るだろう。いや、米国ではすでに青春恋愛映画の古典になっているようだ。
そういや劇中でキースが父親に向かって自分が学校ではみ出しものにされてる理由をいくつか挙げる中で、DVDでは「親友は男勝りの女の子(ワッツのこと)」と言うシーンがあったが、ビデオ時代は「親友は男女(おとこおんな)」という字幕だった。映画館でリバイバル上映を観た際には「親友はトムボーイ」となっていて、確かにストルツは“Tomboy”と言っている。調べるとTomboyとは「お転婆」「ボーイッシュ」という意味となっているが、それだと劇中のニュアンスとは微妙に異なるような気がする。「男の子のように振る舞う女の子」「男の子のように活発な女の子」「男装が好きな女の子」という意味もあってこちらのほうが近いが、それじゃ台詞として長ったらしいし、かといって劇場公開時のように「トムボーイ」とカタカナにしただけではなんのことだかよくわからない。ビデオ時代の「男女(おとこおんな)」は苦肉の意訳ではあるが、ニュアンスとしては近いと思う。それに比べて、DVDの「男勝りの女の子」という表現はちょっと弱い。ポリティカル・コレクトネスなんだろうか。せめて「男みたいな女」くらいがちょうどいいと思うんだが。
80年代のジョン・ヒューズ絡みの青春映画が観たくなって、プリティ ...
80年代のジョン・ヒューズ絡みの青春映画が観たくなって、プリティ イン ピンクと迷って、メアリー・スチュアート・マスターソンかなぁと30数年ぶりに鑑賞。
懐かしさと時代感がわかっているからワッツ(M S マスターソン)の待つ女的な良さがあったような感じだするけど、今の感覚だとベタ過ぎてどうなんだろう。ワッツも良いけど、やっぱ自分の本能的好みには自分でも逆らえないんじゃないかと思う。過ぎ去った青春を想うオヤジの意見。
学校カーストがわかりやすくて開けっぴろげに表現してたけど、21世紀の現在、カースト=闇っていうイメージな分、昔ならでは理解もできた。
ジョン・ヒューズの80年代まだまだあるから時間作って再鑑賞しよ。
不釣り合いだけどお似合いの二人
片想いに三角関係ラブ…。
高校生男女3人が織り成す学園ロマンス。
邦画でこの手の作品を作るとベタになりがち。
でもそこは、青春映画の名手、ジョン・ヒューズ製作・脚本。
切なくもユーモア交え、等身大の物語に仕上げている。
実質主人公は、男子高校生キース。
家でも学校でも変人扱い。
学園のマドンナ的のアマンダに密かに片想い。
でも最も感情移入してしまう登場人物は、キースの幼馴染みのワッツ。
ボーイッシュなドラムガール。
見た目も口調も男の子のよう。
そんな彼女は、何故だか知らぬが冴えないキースにずっと片想いしている。
当然キースは気付いていない。
ワッツもあくまで仲の良い友達付き合い。
色々相談に乗る。
でも、アマンダへの想いを打ち明けられた時は…。
応援したり、車を貸してあげたり、時には運転手を務めたり…。
切ない。
キースはアマンダとデートを。
が、アマンダの元カレが罠にハメようと。
危うい所を、周囲の協力もあって切り抜け、逆にギャフンと言わせる。
あの不良友、ナイス!
ここら辺、痛快爽快。
さて、恋の方は…?
キースが選んだのは…?
オチは予想付くし、予定調和だが、やっぱりこうでなくちゃ!…と、心地よい。
見た目は不釣り合いだけど、ずっと仲良くて、お互いの事を知ってて、お似合い。
エリック・ストルツは冴えない変人くんにしてはちょっとイケメン過ぎかな、と。
アマンダ役、リー・トンプソンは可愛い。確かに可愛さは、彼女の方。
だけど、役柄的にも魅力的なのは、ワッツ役のメアリー・スチュアート・マスターソン。誰もが、ボーイッシュな彼女の恋こそを応援したくなる。
キースの妹もナイス好助演だった。
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