劇場公開日 1951年7月24日

「『オーケストラの少女』よりもいい」かれらに音楽を kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0『オーケストラの少女』よりもいい

2019年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ハイフェッツのヴァイオリンが素晴らしい。本物のヴァイオリニストが演奏しているので繊細で躍動的な運指のクローズアップには神業に近いものを感じる。少年が初めて本物の音楽に触れるときの表情もいい。それからベティという女の子の声量にも驚かされます。

 ローソン音楽学校の方針は貧しい家庭の子供たちのもの。これぞ映画本来の姿だと痛感です。時代背景も1930年代の大不況を経験したアメリカを象徴するようなシーンもある。少年達がつかみ所のない現実社会の中で希望を見出していくことを表現しています。音楽のみならず、笑いのエッセンスをも織り交ぜて映画っぽくなっているのも、この時代にあって最高峰に感じます。ただ、人間関係が演奏シーンに押されて薄くなってしまったのが難点ではあるが、あえて満点を献上いたします。『オーケストラの少女』への対抗意識から出来たという評判もありますが、こちらの方が好きです。

kossy