「過激描写の継続徹底が逆にテーマ性を薄れさせたか…」丘 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
過激描写の継続徹底が逆にテーマ性を薄れさせたか…
この映画は、「十二人の怒れる男」
「未知への飛行」「プリンス・オブ・シティ」
等の作品で大好きな監督の一人、
シドニー・ルメット監督作品だが、
これまで観る機会が無く、
レンタルしてようやく初鑑賞出来た。
現代だったら、マスコミに真っ先に糾弾
されそうなパワハラ・モラハラを
凝縮したような極端な話だが、
例えば「フルメタル・ジャケット」で描かれた
過酷な軍人訓練はまだ戦力になる兵士に
鍛え上げる観点があったろうが、
この作品の舞台は軍人用の刑務所。
ここではもはや訓練の域を超えた
拷問と言うべきレベルで、
その余りにも過酷なモラルハザードの
展開に終始し過ぎており、
ルメット監督らしいテーマの
広がりや深みまでは感じなかった。
せっかく掴みかけた勝利を、
積み重なる憎悪のために
棒に振るかのようなラストシーンは
テーマの掘り下げる意図だったとは思うが、
シドニー・メリット監督作品にしては、
例えば「プリンス…」のラストシーンのような
テーマに広がりと重層さをもたらすまでは
至らなかった印象だった。
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