「何事も最後は大団円、今はまだその途中」マリーゴールド・ホテルで会いましょう arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
何事も最後は大団円、今はまだその途中
「熟年向け長期滞在型デラックスホテル」とは名ばかりで夢見る青年が支配人を務める再建途上のマリーゴールド・ホテルに何とか辿り着いた面々の抱える事情は様々だが、みんなそれぞれに国に(それまでにいた場所に)居場所をなくした人ばかり。
気候も文化も食事もすべてが違う場所での暮らしに慣れるのは年をとればとるほど難しい。しかし、それも人様々で、少年時代をジャイプールで過ごしたグレアムはある目的のために早速行動を開始するし、今まで夫なしで旅行すらしたことのないイブリンは仕事を見つけるし、ダグラスは観光を楽しみ、マッジやノーマンはお相手探しに余念がない。人種に対する偏見を隠そうとしなかったミュリエルでさえ、言葉も通じないホテルで働く不可触民出身の娘と心を通わせる。
唯一、ダグラスの妻ジーンだけは不満ばかりでホテルから一歩も出かけようとしない。
新たな環境は、新たな自分を発見させると同時に、(今まで)自分がどういう人間だったのかも発見させる。
彼等の姿は教えてくれる。
どんな場所にいて、どんな状況であっても、そこで得られる楽しみや喜びを見いだし、
それを受けいれる心の柔らかさと強さを持っていたいと。
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