「最後は大団円」マリーゴールド・ホテルで会いましょう 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
最後は大団円
昨年夏のアメリカ公開時、「アベンジャーズ」のメガヒットの陰でひっそり口コミロングヒット。
なるほど、ああいう超大作を見て疲れた後に丁度イイ、癒し系の小品。
素敵な宣伝に誘われてインドの高級ホテルにやって来た7人の初老の男女。だが、実際は改装中の老朽ホテルだった。イメージの違いや異文化に戸惑いながらも、それぞれ事情を抱える7人は次第に新しい世界に慣れ親しんでいく…。
都会の喧騒を離れて…とはよく言うが、異文化に触れるのもまた魅力。
海外に行った事の無い自分にとっては願望でもある。
登場人物にとってはセカンドライフかもしれないが、僕にはオアシスのようにリフレッシュ出来た。
Mにマグゴナガル先生にデイヴィ・ジョーンズ…。「姉さん、事件です!」級の錚々たる面々。
夫に先立たれたジュディ・デンチは物語の語り部。いち早く環境に馴染み、新しい出会いも…。
ビル・ナイはワガママな妻の尻に敷かれている気弱な夫。異国の地で活き活きするが、妻は…。
トム・ウィルキンソンは元判事。40年前にインドに住んでいて、かつて愛した人を捜す…。
股関節の手術を控えるマギー・スミスは毒舌で偏見の塊。それでもお茶目さを感じさせるのは、マギー・スミスの巧さ。
事情を抱えるのは滞在客だけではなく、ホテルの若い支配人デヴ・パテルも。ホテルは経営難、恋人には好き過ぎて愛を上手く伝えられず、母親は交際にも経営にも反対…。
ワケありの人間模様が反響し合って、極上のアンサンブルを作り出す。
若き支配人がインドの諺として言っていた、“最後は大団円”という台詞が良かった。
焦って先走ってもいい結果は残らない。
最初は苦難でも、コツコツと時間をかければ、いずれは良い方向へ向かう。
これは何事にも共通するのでは?
マリーゴールド・ホテルへようこそ。
当ホテルはお客様に快適な一時をお約束します。