「魔法少女に花束を」劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 後編 永遠の物語 ヒディアーズさんの映画レビュー(感想・評価)
魔法少女に花束を
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希望を持って願い事をし、魔法少女となった少女達は、いつしか絶望を余儀無くされ、呪いを振り撒く魔女へと堕ちる。
それが、この作品の魔法少女システムであった。
希望と引き換えに押し寄せる逃れ様の無い絶望。
その連鎖をまどかは最後、自らが全ての魔女を生まれる前にこの手で消し去る概念となる事によって断ち切った。
本来魔女になる筈だった魔法少女達は、その概念たる円環の理に救済される事で絶望に押し潰される必要は無くなった。
そして敵も純粋悪である魔獣となった事で、彼女達は悪を敷く正統的な「魔法少女」になったのである。
この結末に辿り着いたのは、ここでは説明をやや端折る事になるが、今まで魔法少女達の壮絶な運命を目の当たりにし続けたまどかという人間と、ほむらの想いが起爆剤となったSF的ロジックの賜物である。
本作はSF的要素を導入しつつキャラクターの人間的な内面に深く切り込む作品となっており、精緻かつ衝撃的な展開に裏打ちされたエンターテイメント性と、高度な内面劇的文学性を両立した非常に完成度の高い作品だ。
ここまでの積み重ねと結論の全てが論理的にも心理的にも完璧な上、視聴者の情動にダイレクトに響く感動的なフィナーレを迎え本作は完結する。
全ての要素が非常に高い水準を持って相乗し、自分を含め多数の方々に大きな感動を与えて下さったこの作品とその製作陣に精一杯の感謝と敬意を示したい。
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