「プリンスになれなかった男」悪の教典 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
プリンスになれなかった男
原作未読。
タイトルからして、エマーソン、レイク&パーマーのアレのような感じ(どういう感じ?)かと思ってたら、本当にそうだった。
Come inside, the show's about to start
Guaranteed to blow your head apart
Rest assured you'll get your money's worth
Greatest show in Heaven, Hell or Earth
You've got to see the show, it's a dynamo
You've got to see the show, it's rock and roll, oh
悪の教典#9はEL&Pの代表作。
だが本作は三池さんにとってはそうはならないな。
ロックンロールなショーを見ました、ということには違いない。
ただしプログレとは真逆のヒネリもなにもない、中学生がコピーするようなシロモノだったことは付け加えなければならない。
ま、お金払って得るものあったというより、返せっつんが、オチだけど、それは責任転嫁で言ってはならないことで、観たオレが悪いってだけである。
さて原作読んでないので、はっきりいえないのだが、少なくとも本作は「悪のプリンス」の活躍を描いている。映画は全くハスミンの苦悩を描かないので、そう考えてよいだろう。
悪のプリンスというと、怪物くんでもなく、ディオ・ブランドーでもなく、ダミアンくんかな、映画界でいうと。
本作は多分に「オーメン2 ダミアン」のパクリ(え、オマージュ?)が随所に見られる。
邪魔者はしっかり聞きつけてぶち殺す。人知を超えた能力はもちろん無いが、しっかり彼にとって都合の悪い会話はしっかり盗聴でキャッチする。
まあこの時点でしっかり人知を超えてはいるが。
また、わざわざご自身が出向いていつ人が来てもおかしくないところで人をあやめる。
おいおいプリンス、愉快犯じゃねえのか?
数十個の猫よけのペットボトルの中身を一個一個灯油に替えたのは想像してはいけない。
これぞプリンスの為せる技だぜ?
カラスはその象徴が多分「オーメン」と本作は違うのだろうが
「ダミアンみたいにカラスの力は借りなくてもやれるぜッ」
という開き直りからか、カラスを必要以上に虐待する。
それはカラスを使いこなす真のプリンスに対する嫉妬では決してない。
だけどやはりプリンスはつかまってはいけないな。
頭悪い高校生2人にまんまと騙された挙句、直後に証拠記録が残っていることが判明する。
まさしく神の為せるワザがハスミンの逮捕につながる。
しっかりしろよ、プリンス。
ダミアンくんはしっかり義父母を博物館と共に燃やして証拠隠滅して、ドヤ顔で消防隊、警察隊を待ち受けたのにねえ。
ほか
有名な役者がいたるところで、死亡フラグを立てているので、誰が殺されるか感はあるがそれだけ。
三池監督が、すごい作品の数をこなす理由を聞かれたとき
「オレは映画監督という仕事をしているから、仕事しないといけないだろ?」
と答えた。
至極まっとうな答えである。反論の余地は無い。
しかしその答えは「映画」においては「ナシ」だろう。
なるほど、本作確かにその域を出ていない。
せめて、英語の発音ぐらいはなんとかしようや。