「先輩から後輩への熱すぎるエール」エクスペンダブルズ2 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
先輩から後輩への熱すぎるエール
消耗品軍団の今度のお仕事はアルバニアに墜落した飛行機に積まれた金庫の中にある極秘のブツをシレッと取ってくるという簡単な仕事のはずが、同じくブツを狙うヴァンダム率いる謎の傭兵部隊に急襲されて若い部下を一人死なせてしまい、Track them, Find them, Kill them!と激昂するスタローンとエクスペンダブルズはロシアの山中に突撃する。
そんな新鮮味を明後日の方向に蹴り飛ばしたようなあらすじは重要でも何でもない。『マッドマックス2』に出てくるような即席装甲車で武装したエクスペンダブルズがバンバン血飛沫飛ばしながら敵を殺して殺して殺しまくる冒頭からアクセル全開。百戦錬磨の傭兵部隊なのに小学生が放課後に何して遊ぶかを決めるのと同程度の思いつき計画だけでとにかくアジトに突っ込む!ぶっ放す!ブン殴る!
前回はカメオ出演に過ぎなかったブルース・ウィリスとシュワルツェネッガーに相応の見せ場がガッツリ用意されている上に、更に先輩格のチャック・ノリスまでが一番美味しい場面をかっさらって行き、決め台詞を決めまくる。"I'll be back!"とシュワルツェネッガーが言った瞬間にブルースが"You'll be back enough, I'll be back!"と返し、チャックが"Who's next. Rambo!?"とシャウト・・・80年代の諸作へのリスペクトまみれで場内のオヤジ(3人)は大爆笑。個人的にはスタローン先輩がマシンガンで雑魚キャラを殺しまくった後で言うオリジナル決め台詞"Rest in pieces!"に鳥肌が立ちました。
まるで中学の同窓会を高輪プリンスホテルの飛天の間でやるような目眩でクラクラくる豪華さに圧倒される一方で、ちゃんと後輩のジェット・リーやジェイソン・ステイサムの流麗なファイトシーンを細かいカット割りで一番上品に美しく撮っている。これらは先輩達なりの後輩へのエールなんでしょう、そこはちょっと泣けました。
30年くらい会っていない中学の担任から突然電話がかかってきて「おう、新橋に来てるんやけど来いや」と呼び出されて散々説教食らった後に「でもまあ頑張れよ」と背中をパーン!と平手で叩かれたような、そんな爽快さに包まれた快作。前回あったナガブチも今回はありませんでした。