「LAの夜の魅力と俳優それぞれの個性が夜空の星の様に光る作品」L.A. ギャング ストーリー Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
LAの夜の魅力と俳優それぞれの個性が夜空の星の様に光る作品
今から60年以上も前のLAに実際に君臨していたミッキー・コーエンと言う超大物ギャングと、彼の逮捕の為に立ち上がる巡査部長ジョン・オマラ率いる巡査部長達のディテクティブストーリー。
この映画は、あくまでも刑事ドラマの形式通りにオーソドックスな展開だ。特に真新しい展開形式など全く無いままに話しはゆっくりと進んでいく。
ある意味では安心して観る事が出来る定番の映画と言えばそう評価出来る作品だ。
無茶が無い分、先ずは料金を出した分は楽しめる。ハズレ無しの安心2重丸の作品だ。ではどこでこの映画を楽しめるのか?と言えば勿論俳優達の個性だ。
主人公のジョン・オマラ巡査部長を演じたジョシュ・ブローリンは直近では私の好きなウディ・アレン監督の「恋のロンドン狂騒曲」で売れない作家を演じていた。
このジョシュ親父さんは、見ての通りあんまり見かけが今風のイケメンタイプでないので逆にこの手の刑事物で、男臭い濃いキャラを演じると冴える。しかも芝居が巧い!
そして相棒のジェリー役はライアン・ゴズリング。そう言えば彼が出演していた昨年の映画「ドライヴ」では、現代のLAの夜を不気味に、そして妖しい魅力を放った魔界の都市LAとでも呼びたくなる街全体のカラーが非常に巧く出ていた。
この作品も同様に、夜のLAの街並のシーンも多数描かれて、街そのものがとても魅力的に描かれていたのが、セット撮影であっても印象的だった。
そのライアンは、あの甘いマスクと個性的な声でムードメーカーな巡査の魅力を演じていて、こう言う映画のアクションシーンとセットで必ず登場する女性との絡みのシーンでも嫌味が無くさらっとしたキャラで憎めないし、実に配役がこの映画は巧いよね。
そして、ギャングの大将のミッキーをショーン・ペーンが演じているし、多数演技派の競演と言うところでも見逃せない作品だ。
そして、金に決して屈する事なく正義を貫く警察本部長にはニック・ノルティーが当たっている。彼が随分と丸い身体になって老けていたのに驚いたが、彼ももう70才を過ぎていると言うので更に驚いた。ニックと言えば「48時間」と言う面白い映画もあったし、70年代に人気を博していたバート・レイノルズと共に刑事アクションや、時にはラブストーリーでも出ていたのを記憶している。
そしてこの作品の監督をしているのはルーベン・フライシャーだと言うが、私は彼の作品を観るのは今回が初めてだ。
前作はあのヒット作「ソーシャルネットワーク」で主演を務めていたジェシー・アイゼンバーグを主演で起用したコメディー映画「ピッザ・ボーイ」と言うから、何となく彼のテイストが解るような気がした。
この映画も、血も涙も無い、残忍なミッキー・コーエンの追跡ドラマであるにも関わらずシリアスドラマタッチではなく、どこか可笑しさがあるのは、この監督の味なのだろう。
レトロでムーディな音楽と共に昔のLAにこの映画で、旅するのも楽しみな時間だよ!