ハンター(2011)のレビュー・感想・評価
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何か良いものを見させてもらった感がする
孤独と矜持
キャストはデフォーとタスマニアタイガーだけが理想
個人的には納得感がありません。
タスマニアタイガーを狙う孤高のハンターが、現地の母子と触れ合う物語。
孤独な職人と無邪気な子供の触れ合い・・・と言う設定。とても味わい深い作品に仕上がっているように思えました。
名優ウィレム・デフォーは勿論、子供たちが魅力的です。無邪気なお姉さん。警戒しながらも近づいてくる弟。タスマニアの大自然を舞台にゆっくりと静かに描かれています。
しかし、ラストまで鑑賞して、映画の評価としてはかなり低くしました。人によるのでしょうが、私には不愉快さが残る展開です。
良く解釈すれば、ベタな設定の中で、予定調和を崩したかったのかもしれませんが・・・私にはやり過ぎに感じました。
檄シブっ!デフォー
最高にすきな映画
最初の音楽と映像が、この映画の彼の立場を表している。
その意味で良い映画。
そして、考えを変える訳だけどその映像証明が良い。
物語は、単純だ。
タスマニアンタイガ。
映画はちがうシーンを見せている。音楽であり、森であり、閉鎖された住民であれ・・それが、この映画が生き残る理由でもある。
そこに正義と欺瞞がある。
その意味でこの映画はいい。
でも、そんな言い方より、この映画の映像やシーンやなにかがいいんだ。ぼくの深い部分と共鳴している。
象徴的なのは、木にくくりつけてスピーカーのクラッシック音楽。それがはじまりだ。
最後のシーンも自然に深く受け止めている。
だから、いちども飽きたこともないし、それこそ何度も観ても早送りにしたこともない映画。いつも毎回向き合っている。
ウイリアム・デフォーの最高の映画。
最後の判断に、泣けた。
ハンターと獲物の心
疲れ果てた最後の一匹
弧高のハンター、最後の叫び
森林伐採で生活する者が多い小さな町は、環境保護の名の下によそ者が山に入るのを嫌う。ハンターという素性を隠して入島したマーティンは、当然のごとく白い目で見られる。
人と接することが嫌いなマーティンが、山に住む母子の家に住むしかなくなるお膳立てはここにある。
そしてもうひとつ、別な意味でマーティンの出現を喜ばないのが案内人のジャックだ。
町の者にとっては生活を脅かすよそ者だが、ジャックにとってはもっと吹っ切れない想いがある。何かと面倒をみてきた家族がマーティンを慕い始めたことに、内心穏やかではないのだ。
もともとマーティンは、独り依頼された仕事を遂行して消えていく、ただそれだけの筈だった。大自然をバックに、経験を積んだ勘と技術で、絶滅したとされるタスマニアタイガーを追い詰めていく孤高のハンター。それだけでもじゅうぶん映画になる。
だがこの「ハンター」では、そこに住民感情が立ちはだかり、やるせない男の嫉妬をぶつけてくる。さらに最後の一匹かも知れないタスマニアタイガーが絡む、利権と策謀を絡めたサスペンス・ドラマに仕上げた。
大人たちの私利私欲に関係のない子供たちは純粋だ。最初はうるさがっていたマーティンが徐々に子供たちと接するようになるのは、そこに利害関係という煩わしさが存在しないからだ。二人の子役が実に生き生きとしている。
その母親ルーシーは、夫が帰らないと分かりながらも、マーティンに惹かれていくことへの後ろめたさを、フランシス・オコナーが抑えた演技で表現。
森の中では自然に対峙する厳しく険しい顔つきで、手馴れたプロフェッショナルのハンターになりきるウィレム・デフォーだが、幼い子供たちに翻弄されて戸惑いをみせる表情が可笑しい。ずっと独りでやってきたマーティンが、母親ルーシーに対してなかなか一歩を踏み出すことができない心情を漂わせ、二人の役者が言葉もなく中年男女のプラトニックな情愛を醸し出す。
つかの間の平穏な時間を手に入れた弧高のハンターを、誰もそっとしておいてはくれなかった。
ラストの嘆きは、無意味な殺生に対するハンターとしての切なさと、大切なものを失ってしまった男としての悲しみが合わさって悲痛の叫びとなる。
その引き金を、引くのか。引かないのか。
まず、兎にも角にもウィレム・デフォーが格好良い。
自身を多く語らぬ孤高のプロフェッショナルを体現しとります。
『燻銀』なんて言葉は、デフォーみたいな役者に一番相応しいのかもしれませんね。
まだからって、彼が“円熟期に入った”とか“渋味を増した演技”になったとか、今更そんな表現で褒め称えるつもりはないですよ。
元々それらの要素が備わってる俳優さんなんで。
ただ、この映画の彼はやっぱ格好良い。
何故、格好良いのか?
多くを語らぬ故、脳内補正が存分に発揮されるからかもしれません。
主人公のバックグラウンドが皆目見えてこないから、その代わりに想像力で補わなきゃならないっていう。
『恐らく独身で、今迄一人で生きてきたのだろう』とか、本職は一体何やってるんだろう?本当にハンターなのだろうか?引退した軍人かもしれないぞ?とか、色々こちらで彼のプロフを仕立て上げるみたいな。
そうは言っても、彼の一切合財に手掛かり皆無な訳じゃなくて。劇中じゃ好みの音楽や自身の生活様式やら仕事のポリシー、そういった己の美学に忠実な部分は結構触れられてるんで、それなりの背景はあるというか。
まあそんな漠然とした人物像をこちらで描き出しつつも、物語は緩い推進力ではありながら、確実に進行してく訳で。
あらゆる感情も、彼の中で芽生えてくる訳で。
怒りや苦悩や葛藤、主人公の人生で恐らく最大であろう障壁にも段々とぶつかってく訳で。
その中で、彼はどういう決断を下すのか。
ハンターとしての責務を全うするのか。
やがてぶち当たる最大の試練にどう立ち向かうのか。
手にしたその銃!
引き金を引くのか?
或いは引かないのか!?
……。
おお~、そうくるかデフォー…いや分かってたよ、アンタならそうするって。
格好いいなあ、男だぜ。
そんな感じで鑑賞。堪能しました。良かったです。
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