劇場公開日 2013年1月18日

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「肯定と理想」アルバート氏の人生 市松さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5肯定と理想

2014年1月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

難しい

主人公のアルバートの生き方は、確かに自分らしさを押し殺したものだったかもしれないけれど、それでも尚、自分の人生(それこそ過去現在未来の全て)に対して肯定的であったように思えました。生きるために、夢のために、たくさん働いて、人を愛して、何もかもに必死であったようなアルバート。しかし、その実、現実的な部分と妄想の中に限った話の部分が入り交じるなど、彼は自分の人生を哀れなまま、あるいは寂しいままにしておくことを是とせず、先走ってしまうのです。彼は話しの節々で人間関係の距離の取り方を間違っていて、その必死さがより哀れを誘い、また幸福を願わずにはいられなくさせます。アルバートの生きた歳月を思うと虚しさがこみ上げてきます。

また、彼を取り巻く人間模様にも目を見張るものがあります。
男装については、ヒューバートの方が2,3枚上手かも…。それは多分、彼が彼の求める人生を忠実になぞってきたからこそなのでしょう。アルバートと似た出で立ちでありながら、雰囲気が全く違っていて面白いです。

女優の演技が素晴らしいこと、各キャラクターの人間像を考察していく余地がおおいにあること、ラストシーンの是非…などとても深く楽しめました。

市松