「100年後の人のために」クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
100年後の人のために
ワイズマンのダンス三部作(勝手に名付けてすいません)、『アメリカン・バレエ・シアターの世界』『パリ・オペラ座のすべて』『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』は、ほんと観てて飽きない。好きなシーンを何度も繰り返し観てしまう。
『アメリカン〜』だったらライモンダのシーン、『クレイジー〜』だったらロープダンスとトウシューズのシーンかなあ。
これらのダンスシーンは一朝一夕に出来上がるわけでもなく、鍛錬と伝統に支えられている。
連綿と続くダンスの長い歴史の貴重なワンカットを観ているような気がしてくる。
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ワイズマンのダンス三部作、実は100年後200年後の人のために作られたんじゃないかなあと思う。
私は、『クレイジー〜』のダンスの大本となった、例えば200年前のマリー・タリオーニのダンスが観てみたい。現代にも引き継がれる芸術がどのように産み出されたのか、当時どんなだったのか、もの凄く観てみたいのだが、叶わぬ夢だ。文献でしか知る事ができない。楽譜は残っていても、その当時の情熱を観ることはできない。
パリ・オペラ座やクレイジーホースは、形を変え、どんどん未来へ引き継がれていくと思う。(もしかしたら無くなってしまうかもしれないけれど、クレイジーホースというものがあったという記録は残るだろう。)
100年後200年後の人も、私がタリオーニを観たいと思ったように、フェリを、ルグリを、そしてクレイジーホースを観てみたいと思うのではないか?
ワイズマンはその人たちのために、このドキュメンタリーを撮ったのではないかなあと思う。
圧倒的な身体の存在感を、舞台という一瞬ではなく、映画という永遠にしたかったのではないかと思う。
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