「どこか憎めない妖精」ダーク・フェアリー Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
どこか憎めない妖精
トゥース・フェアリーという伝説は日本ではあまり聞かないかも知れないが、あちらでは古くから伝わる物らしい。本作の第一の感想として、「ギレルモ・デル・トロ」らしい作品だった。彼が好みそうな世界観であり、なぜ監督に回らなかったのかが不思議な位だ。過去にも「パンズ・ラビリンス」等を手掛けた監督だが、それに引っ張られるような作品では無い。一応ダークファンタジーというジャンルに当てはまるというところは共通だが。ホラーまではいかない恐怖感のため、そこを期待すると物足りないだろうが、世界観に引き込ませるのは流石の一言である。
妖精が程良く怖がらせてくれながら、開始一時間程で正体を表す。その間は気難しい一人娘と父親、その恋人の人間模様が描かれる。丁寧な描写であり、この家族が今どんな状況に置かれているのかは良く伝わるが、やや丁寧すぎる印象も残った。物語に新しいエッセンスが加わっている訳ではないが、バランスの取れた作品である。出演者らが豪華だが、本作に「華」を感じないのはダークな世界観だからなのだろうか。
過去の名作とはこちらも比べようとは思っていないが、本作の鑑賞後に「パンズ・ラビリンス」を観てしまったのは言うまでもない。
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