惨劇館 ブラインドのレビュー・感想・評価
全1件を表示
この映画こそ、惨劇です
恐怖漫画界にあって巨匠と評される3人のクリエーター、古賀新一、伊藤潤二、御茶漬海苔。彼等が自らの手掛けた原作を、自身の手で映画化する一大プロジェクト「古潤茶」の、ラストを飾る第三弾。
ホラーコミック界にあって、多くの信者を集めている(らしい)人気漫画家(と聞いている)、御茶漬海苔大先生(なのか?)が満を持して映像化に挑んだ伝説的なカルト作品(みたいですよ)「惨劇館」。
その分野にあっては絶対的な知名度と創造力を高く買われている作家なのかもしれない。しかしながら、映画という表現手段におけるカット割りと、漫画という世界におけるコマ割りには、似て非なる能力と立ち回りが求められるのねと改めて実感させてくれる。まさに、何かを生み出す世界に生きる者にとっては有意義極まりない作品である。
新進気鋭の女優、逢沢りなの可憐な魅力と存在感を前面に押し出した作品として製作していればそれなりに観られる物語になっていたはずである。だが、あくまでもこの企画の主役は御茶漬先生。
「俺が、俺が!!」の気概がムンムンと漂う自己主張の塊のような世界となってしまったために、観客は美しき女優、逢沢よりも何やら「孫は、まだかいね」と執拗に迫る不審な母と娘ばかりがいやらしく脳裏に焼きつく。
美少女が迷い込む幻想的なホラーというよりも、「ジメ~」とまとわりつくオカルトアングラ映画の様相ばかりが御茶漬先生の奇抜な想像性によって生まれ出る。手触りはもう、ざらざらの嫌悪感。「もう・・何でこんな変な役持ってくるのよ、ジャーマネ!」と逢沢が叫んだ・・かどうか知らないが、そうであっても違和感のない、作家先生がみせる疑惑と我儘の溺愛ぶりである。
それほどイケメンでもないキーパーソンの男。漫画の吹き出しなら許せる説明過剰が壮絶に躍り上がる不可思議映像体験。この作品は、私達に生きていく上で大切な、大切な事を教えてくれる。
餅は、餅屋がよいヨウデス。
全1件を表示