「映画は調理次第で面白くなる」プレイ 獲物 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画は調理次第で面白くなる
娘の危機を知って脱獄するフランクが、なかなかにタフだ。アルベール・デュポンテル演じるフランクはカッコいい風貌の持ち主ではないが、喧嘩が強いうえ足が早く、体が頑丈だ。頭もキレて、モレルの行方を追っていく。
そのモレルは一見、普通の中年男だが、実際の顔は若い女ばかりを狙う殺人鬼だ。フランクの娘を拐うばかりか、自分の連続殺人の罪をモレルに被せてしまう。その狡猾さが憎々しい。ステファン・デバクが出た映画は何本か観ているはずだが、印象に残る役はこれが初めてだ。
脱獄だけでなく、連続殺人犯としても追われる羽目になったフランク。追っ手は女性刑事のクレールだ。男勝りの敏腕刑事で、執拗にフランクを追い詰める。アリス・タグリオーニは美人だが、見たことがない女優だ。
看板となる3人が、どちらかというと地味目ながら、それぞれの分担がはっきりしており、三つ巴の綱引きが拮抗していて、緊迫した空気が最後まで緩まない。
クレールは敏腕ながら男社会の中で孤立することがあり、ぎくしゃくとした上司との関係やら、モレルの婚約者や連続殺人被害者の父親の登場を絡ませて、話をうまく引っ張っている。
音楽も単純なフレーズの繰り返しながら、フランクの八方塞がりの局面にうまく作用している。
ドラマの構成といい、役者といい、高級な素材ではないが、集めてうまく調理すれば、それなりに面白くなるという見本のような作品だ。
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