アポロ18のレビュー・感想・評価
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自宅にて鑑賞。アメリカとカナダの合作。細部迄、徹底したモキュメンタリーで、撮影時には'70年代製レンズが使用されたらしい。概ねのプロットは、『アルマズ・プロジェクト('07)』に似ているが、スポットしたスローのプレイバック再生が施される等、リアリティを持たせる作り込みがよりソレらしい本作の方が丁寧に作られている。蟹の様なエイリアンやソ連製の宇宙船等、魅力的なガジェットも登場するが、ラストがお座成りで盛り上がりに欠ける。特典映像の別エンディングも描写が違うだけで、本篇と同じストーリーだった。55/100点。
・オープニングの三人の宇宙飛行士のプライベート映像は、エンドロールでも繰り返されている。リアイリティを追求するなら、月面の影が一定で、月の低速回転を無視していたり、ヒューストンと宇宙での無線にタイムラグは無い筈だし、無音の筈の宇宙空間での音の響き等にも拘って欲しかった。
・鑑賞日:2012年12月5日(水)
こういうの好きな人にはツボ
アポロ計画については様々な憶測が飛び交っているが、それをここまでB級的テーマで訴求されるとやられる。万人受けしない大雑把な構成や、いかにもな画面ノイズのPOV映像等、徹底的にB級なのが良い。それを「これは本当の出来事だ」と言ってしまう辺りは拍手を送りたい程である。
さて、事実な訳ないだろと鑑賞していくと、それでもリアリティ溢れる作り手のこだわりが見えて来て、映画ファンにはある程度受け入れて貰える完成度では無いだろうか。過去、「アルマズ・プロジェクト」というこれと似た作品があったが、あちらよりも映画作品としての盛り上がりを見せてくれる為、安心して観ることが出来た。ソ連の宇宙船の展開や、登場人物を襲うある生物の存在等、ビジュアル的にSFファンを喜ばせてくれる様な展開が用意されている。
宇宙版「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」と言えばイメージがしやすそうな本作だが、孤立した世界で、意思の疎通等がおおよそ出来ない未知の存在と出会った時の恐怖はやはり計り知れない。本作はズバリそんな作品であり、完成度はともかくとして、恐怖さには何とも言えぬ魅力がある。
岩の様な体表のエイリアンは中々珍しいタイプだろうが、月の表面に見えるゴツゴツした地表を活かした設定となっており、面白いと思う。個人的にはどこが顔かも分からない得体の知れなさ全開の生物の方が怖い気がするが、製作陣の遊び心として観ればいいのだろうか。
ソ連が来たなんて聞いてないぞ
映画「アポロ18」(ゴンサロ・ロペス=ギャレゴ監督)から。
「カプリコン1」とか「アポロ13」など、
なぜかアポロ関連の映画は、気になってしまう。
本当は月へ行ってない、という都市伝説もあるように、
私の好奇心がくすぐられるのであるが・・。
本当の理由は「地球外生物がいたから」なんて面白い。
「今の技術を駆使しても月面着陸は不可能」という説を、
私は支持していたのだが。(笑)
気になる一言は、その前段階での仕掛け、というべきか、
「我々以外の足跡を発見」から始まり、
それが「ソ連の宇宙飛行士」の足跡であったこと。
さらに、彼らは地球外生物に殺された・・と続く展開に、
思わず、笑ってしまった。(すみません)
だからこそ、アメリカ宇宙飛行士の驚きの台詞をメモ。
「ソ連が来たなんて聞いてないぞ」
月で宇宙人と出会うより、ソ連の宇宙飛行士と会った方が
彼らの想定外で驚くに違いないからだ。
それも「マル秘だったはずのソ連製の月面着陸船」が
簡単に操縦できるなんて、と突込みどころ満載の映画。
ますます、月への着陸の真実が気になってしまった。
月の孤独
『恐怖は人類最古の感情』と語ったのは
モダンホラーの始祖とされる作家H・P・ラヴクラフト。
彼の著作には頻繁に——いやもうやかましいくらい頻繁に(笑)
“宇宙的恐怖”という言葉が登場する。
これは『人の理解を絶対的に拒絶する存在への恐怖』みたいな意味合いの言葉らしい。
宇宙が舞台の本作を観て安直にこの言葉を連想した訳だが、
実際、本作ではこのラヴクラフト作品を読んだ時に近い恐怖を味わえた。
宇宙的恐怖イェーイ。
『遊星からの物体X』『エイリアン』『スフィア』など、
僕はどうも“孤立した空間で怪異に遭遇”という設定に弱い。
そして本作の舞台は月面。これ以上の“孤島”があるだろうか?
息が詰まりそうなほど狭い居住空間にふたりぼっち。
この状況で恐怖に晒され、おまけに外部との連絡も途絶え……
まさしく悪夢である。
ビックリ箱的恐怖演出は『パラノーマル・アクティビティ』等にはやや劣るが、
宇宙という馴染みの無い空間の面白さも手伝ってか、物語展開は『パラノーマル〜』よりずっと楽しめた。
ざりざりと粗い記録映像も『いかにも』な感じで出来が良い。
そもそも主人公らが映像記録を残す理由も明確なので、
これまで観たPOV作品以上にリアリティと説得力を感じる。
ま、肝心の怪異の正体にはあんまり現実味のある恐怖を感じなかったけど。
デカい蜘蛛か蟹のようなフォルムは気色悪いし、
顔から大量のアレが噴き出すシーンには顔が引きつったが、
やっぱり他の生物に“似てる”と感じた途端に、
正体不明の存在に対する恐怖は薄れてしまったかな。
これはかなりかなり個人的な意見だけど、
もっとこうヌメッとした、どこが脚か頭かも分からない不定型な生物や、
どんな生物とも似つかない異様なフォルムの生物が見たかった。
全く理解できない、意志疎通の可能性が持てないものに対して人が抱く恐怖。
それって極めて強固な恐怖だと思うので。
最初に述べた3作品では、その恐怖を感じた。
あと欲を言うなら、物語展開にもうひとヒネリが欲しかった。
ソ連の船に関するくだりや、録音テープの息子の声とかは面白いが、
感染して意識を乗っ取られる展開ってのはかなり安直かな。
ともあれ、楽しめた!
七夕の時期に相応しいホラーです(?)。
ところで、「♪ダークサイド・オブ・ムゥ〜ン」と陽気に歌う
あのエンディング曲の選曲は割と底意地が悪いと思う(笑)。
<2012/7/7鑑賞>
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