「邦画ファンにはたまらなく嬉しい映画だと思う!市川監督の純愛ストーリーだ」市川崑物語 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
邦画ファンにはたまらなく嬉しい映画だと思う!市川監督の純愛ストーリーだ
岩井監督の「FRIENDS AFTER311」が公開されている。しかし、私はまだ観ていないのだが、岩井俊二監督作品と言えば、私は「LOVE LETTER」や「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」「PICNIC」などなどを直ぐに思い出し、95年~96年頃には彼の作品を本当によく観に映画館に通った事を懐かしく思い出すのだ。彼の作品は自分好みの作品が多くある。
そして、また彼の作品でも常連だった俳優浅野忠信は、今ではハリウッドスターの仲間入りを果たしたと言っても過言ではないし、今やこれからが先が今迄以上にとっても楽しみな俳優でもあり、ユニバーサルの100年の記念映画である「バトルシップ」に出演出来た事を邦画ファンである私は、他人事とは思えず、とても嬉しく思っているのだ。
さて、その浅野忠信を有名にした監督は、この岩井俊二であり、その岩井監督の原点は何処から来ているのかな?と前から疑問に思っていたら、これが、巨匠市川崑だったとは・・・
岩井俊二の独特の映像美の美意識の原点が実は、市川崑から出て来ていたとは残念な事に私は今日迄知らなかった。でも、頷けると言うか、謎が解けた気がするのだ。
しかし、個人的に思い入れが深く、敬愛する巨匠の物語を自ら演出するとはどんな気持ちであった事だろう?
岩井監督はこの作品を制作しながら何を考えていたのだろう?
普通の感覚で考えてしまうと、思い入れが強烈過ぎて冷静に撮れているのだろうか?と言う思いがして、中々この作品を観る気になれなかった。
市川崑監督も大好きだし、岩井監督も好きな自分は、もしこの映画を自分が好きになれなかったら、岩井監督を嫌いになりそうで、見られなかったと言う訳だ。
しかし、そんなバカな私の心配症は全くの無駄であった!岩井俊二は本当に好くこの映画を撮れたものだ!と感心した。当然の事だが、さすがのプロだ。
岩井監督の巨匠に対する思い入れと、その市川崑監督の映画人生の生涯の足跡を余すとこ無く魅せてくれる、両者の映画に対する愛が、画面から溢れ出し、一つに融合していた気がする。岩井監督に感謝したい!
市川監督と言えば、「おとうと」に代表される名作や、「東京オリンピック」の騒動に始まり「炎上」「黒い十人の女」純文から、メロドラマ・70年代以降の晩年の金田一耕助シリーズなどのミステリーまでと実に多彩である。そして巨匠と言われる本編監督でありながら、TVでも、「木枯らし紋次郎」など人気シリーズを手掛け、しかもCM監督まで映像と名の付く物なら、ジャンルを超えて、常に映像の新しい可能性へと60年間に渡り、模索を続けて現役を貫き通した我が国でも珍しい監督である。生涯現役の長命といえば、今日では新藤兼人監督その一人であるが、しかし、これ程までに、一口に映画と言っても多種多様に表現の素材を試みた監督は他に類をみない。そしてその市川監督の素晴らしさを映像に残してくれた岩井監督に、感謝している。邦画を愛する映画ファンでこの作品を未だ観ていない方には、是非見て頂きたい映画である。そして
この映画を観て、観た事の無い作品を発見したら是非市川監督の作品を観て欲しい。