劇場公開日 2011年7月30日

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「ひたすら生き抜く本能」エッセンシャル・キリング マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ひたすら生き抜く本能

2012年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

主人公はアラブ人兵士ムハマンド。そもそも、なぜ荒涼とした大地を逃げることになったのか、まったく説明がない。男はとにかく逃げていたのだ。

追手の偵察隊を排除するが、すぐヘリからの攻撃を受け捕まってしまう。
男が逃げ惑う俯瞰した映像は何も物語らない。とにかく男は捕まってしまった。

いっさいものを言わない男、ムハマンド。拷問の挙げ句、軍用機でどこか知らないところへ移送される。その後、軍用車で搬送されるところを思わぬアクシデントがあり、その機に乗じて脱走する。
再び地を這う逃走が始まる。俯瞰した映像は、砂漠から真っ白く雪に覆われた森に変わっている。
男の青白い顔が雪のなかを必死に移動する。男はとにかく逃げる。

まったく台詞のない男の逃走劇。80分近くをただ逃げるだけ。本能的に生きようとする男の、動物的な行動がとつとつと描かれる。とにかく、ただそれだけ。

男はどこに向かおうとしているのか。何もない。追われるから逃げる、それだけだ。

透き通った朝焼けの雪原。馬が一頭いるだけの雪原。馬の背に男の姿はない。男は見ず知らずの土地でやすらぎを迎えることができたのだろうか。

p.s. 【印象】を〈単純〉にチェックを入れたが、これは仕方なくだ。ほかに該当するものがなかった。強いて言えば〈淡々とした〉印象だ。

マスター@だんだん