「ギャロの逃走劇場」エッセンシャル・キリング ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
ギャロの逃走劇場
鑑賞後にふぅ、と一息。
いやあ。なんとも、単純明快なのに、こう、メッセージ性を滲ませてる様な、そうでもない様な、カメラの見つめる視点、眼差し、フォーカスされた対象物(景色やら草木やら)に意味を孕んでる様な、ただの思わせ振りの様な…まー、不思議な映画でした。
単色、白基調の雪景色の中、その白に塗れてヴィンセント・ギャロがひたすら逃走するだけの内容であるのは間違いないんですけど。
まプロットが逃げるだけ、なんで。
要するに『ヴィンセント・ギャロ劇場』なんですよね。
逃げたいし、生きたいし、助かりたいし、でも絶望のさ中だし。
腹減ったから口に入れられるモノは何でも口に入れるし。
泣くし、殺しまくるし、母乳吸うしw
それら全部が、彼にとっては真剣なのに、やがて滑稽に思えてきて、やっぱ不思議な映画というべきか、中盤辺りから若干コントの様相も呈してくるんですよ。だから、何か思わず笑いそうになる。あ、笑ってないですけどね。
つまりはこの映画、一面銀世界がギャロの独壇場。
一切セリフなし。物言わぬ代わりの饒舌な所作の数々。
ナイスなリアクション。
芳醇な83分間。
とりあえず、映画館帰りに、今日は飯をお腹一杯食べようと思いました。
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