「観察映画」Peace ピース odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
観察映画
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岡山の高齢者や障害者の送迎やヘルパーとして勤しむ柏木夫妻の献身ぶりを追ったドキュメンタリー。もっとも製作・撮影・監督を一人でこなす想田和弘さんは自身の映画をドキュメンタリーではなく台本の無い「観察映画」だと言っています。
なんと柏木夫妻は想田監督の奥さんのご両親ですから身内ならではの至近距離、リスペクトも込めて寄り添った撮影ができたのでしょう。
まさに高齢化社会の日本で斯様に奇特なボランティアの存在を知らしめることは極めて有意義ですね。興味深いのは柏木さんの猫から人まで慈しむ博愛ぶりの描写とタイトルのPeace、なぜ平和を横文字にしたのかと思ったら柏木夫人が面倒を看ているご高齢で独り暮らしの橋本さんの唯一の癒しが喫煙で愛飲しているのがPeaceでした、肺がん患者が愛煙家というのも因果応報の様な気もしますが体に悪いから禁酒禁煙すべきとは道理でも孤独な老人の唯一の愉しみ迄制することができるかというと微妙ですね、事程左様に人生は道理だけでは済まされない複雑さの例示かも知れませんね。
映画自体は地味ですし語るのも俳優さんではありませんから活舌も悪くよく聞き取れませんし、照明もない暗い画面は戸惑いましたから評価は微妙、ただ、何より収穫だったのは本作で想田さんと言う特異な視点、ジャンルの製作者や社員5人の小さなドキュメンタリーに特化した配給会社、東風の存在を知ったことですかね・・。商業主義の大手を批判するつもりはありませんがマスメディアではできないことに果敢に取り組んでいる個人や中小企業の大切さを実感致しました。
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