「ジム・キャリー出演作品にだけに、無難なクオリティで笑いあり、涙ありのヒューマン作品でした。」空飛ぶペンギン 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ジム・キャリー出演作品にだけに、無難なクオリティで笑いあり、涙ありのヒューマン作品でした。
本作は、いかにペンギンを飛ばすことにストーリー的な説明がつけられるかという面白さを狙った作品です。後は、ジム・キャリーに綾里を任せて、お決まりのヒューマンコメディが展開されます。仕事オンリーの主人公、両親の離婚、親子の断絶とお決まりの設定は
既視感たっぷりで、評価が別れることでしょう。
但し都会の高級マンションで7羽のペンギンを突然飼うことになるなんて、今までにないぶっ飛んだ設定が面白いのです。そして次第にペンギン飼育にのめり込んでいく主人公
が自室を南極のように氷づくめにしてしまうなんて、なかなか着想できないでしょう。しかもペット禁止のマンション住まいは、ペンギン飼育がバレないように主人公のトムは涙ぐましい努力するところもも笑いが満載でした。
また、ペンギンを確保しようとする動物園スタッフを巡って繰り広げられるペンギン争奪戦では、リーダーのペンギンが逃げ遅れて、建物の屋根に追い詰められるシーンでは、あわや捕まってしまうとところで見事に空を飛んで脱出するところは、思わず喝采を送りたくなりましたね。
当然ペンギンは空を飛べません。飛ぶためには、何らかの補助手段が必要でしょう。それを納得いく形で用意できたことで、本作の目的は無理なく達成できたのです。
ワークホリカーで家庭を顧みることがなかったトムが、家族の大切さに気付くシーンはなかなかハートウォーム。ペンギンの卵が孵化するところを子供たちと一緒に観察しているうちに、トムはペンギンの赤ちゃんにすっかり感情移入してしまうのですね。そして、父親だった自分は一体何をしていたのだろうかと反省するわけです。この辺は、単なるドタバタコメディアンと違ってジム・キャリーがきっちり決めてくれました。
トムは、敏腕不動産デベロッパーだけに、ペンギンの飼育も、狙っている大型案件の買収も、そして子供たちとのふれあいも、全部貪欲に諦めようとしません。ただひとつ別れた妻に対しては、贖罪の思いかはっきりしませんでした。元妻が新しいフィァンセの招きに応じて、海外に永住しようとしたときトムの思いが炸裂します。果たしてハッピーエンドになれるのでしょうか。
加えて仕事上の買収工作も思わぬ展開に。そしてペンギンたちとも納得のいく別れと再会が!ジム・キャリー出演作品にだけに、無難なクオリティで笑いあり、涙ありのヒューマン作品でした。ポテチムービーには最適です。