オムライスのレビュー・感想・評価
全2件を表示
くだものだもの、なんか相田みつをみたいでさ
映画「オムライス」(木村祐一監督)から。
「大爆笑」の一言に尽きた。
映画の内容そのものを、私自身が日常の中で20年以上体現している。
逆にいうと、こんなことが「映画」になるのか、という驚き。(笑)
何気ない日常の面白い風景を発見し、そこから物語を想像していく、
この楽しさは、誰にも迷惑をかけず、お金もかからないから、
これからもずっと続けていきたい、と思っていた矢先に、
この作品にぶつかった。
個人的な趣味から言えば
「無断駐車は注射します。院長」という病院前の看板。
「安いよ安いよ、明日はもっと安いよ」という店員の掛け声。
「特急ドライ 6時間仕上げ」(クリーニング店の看板)を見上げながら
「ねぇ、特急で6時間って遅くない?」という主婦の会話。
「(株)イー・エヌ・ディー・オー」(遠藤)と書かれたトラック。
「馬場正一 馬場君6票」「先生、違います。それ名前です」という、
学校での役員選挙結果。
古い「くだもの」という看板と、新しい「くだもの」という看板が重なり、
「くだものだもの」となってしまった、お店の看板を3人で眺めながら
(いいんじゃない)「くだものだもの、なんか相田みつをみたいでさ」。
こうして書いていても、笑い出してしまう、私の趣味そのままの作品に、
周囲から奇怪に見られていた自分の行動が、なぜか評価された気になった。
同じ視点のお笑い芸人、木村祐一さんのファンになりそうだ。
スライドネタの教科書
料理と写術を十八番にしているキム兄だけあって、独自の妄想の膨らませ方は、唯一無二の角度を攻め込んでいく。
テニスコートの金網に掛かっているS字フックや、寿司屋の看板、ポスターの水着モデルetc.に対し、堂々と自分の世界観を力説できる天才は、西ではキム兄、、東ではみうらじゅんが頂点であろう。
故に、映画というよりサブカルの要素がかなり強く、不可思議な見応えに戸惑うが、キム兄の芸の真骨頂を存分に味わえるので、スライドショー好きには絶好のテキストである。
では最後に短歌を一首
『街歩く ケータイ片手に パシャパシャと 膨らむ妄想 ふんわり包む』
by全竜
全2件を表示