「カントリーという音楽に秘められた歌魂の力強さ」カントリー・ストロング talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
カントリーという音楽に秘められた歌魂の力強さ
〈映画のことば〉
夢ばかり見ていると思っているでしょ。
中西部からバスで都会に出てきた私を
外から見るとか弱そうだけど、
何にも負けない心を持っている。
カントリーの女王だもの。
踏まれても耐え抜く。
私が生まれ育った土地のように。
バカにされて、落ち込むかも知れない。
でも、へこたれずに、じき立ち直るわ。
カントリーの女王だもの。
カントリー・ストロング
<映画のことば>
恋を恐れないで。
人生でいちはん大切なことよ。
常に心のアンテナを張るのよ。
評論子は音楽ジャンルに決して明るい訳ではないのですけれども。
本作で多く歌唱されるカントリー・ミュージックを聴いて少しばかり調べた限りでは、もともとはアメリカ開拓民の間で歌い継がれた楽曲が、労働階級者向けの音楽として人口に膾炙(かいしゃ)して広がった音楽ジャンルということのようです。
そういうルーツの音楽であるせいか、聞いていて、歌の魂に込められたある種の「力強さ」を感じさせる曲調のものが多いようにも思われました。
「踏まれても、踏まれても、根を張って、葉をひろげる雑草のような逞(たくま)しさ」という曲想なのでしょうか。
そういう意味で、「カントリー」という音楽は、人の生き様を赤裸々に歌い上げるということでは、本当に「ストロング」なのかも知れないとも思います。
ケリー、その夫・ジェームズと、そしてケリーとボーとの関係性をタテ糸とし、そしてボーとマイルズとの関係性をヨコ糸としてオーバーラップさせながら、ケリーの歌声で、最後の最後にはたっぷりとカントリー・ミュージックを聴かせてもらえる本作は、あたかも彼女のプロモーション・ビデオそのもののようでもあります。
音楽映画…ミュージック系のラブロマンスものとしては出色の作品として、佳作といえる一本だったと、評論子は思います。
(追記)
人の声は、ある意味では「最高の楽器」だとも思います。
肉声でのカントリー・ミュージックをたっぷりと味わえるということでは、本作は、音楽映画のジャンルに位置づけて良いものと、評論子は思います。
(追記)
このレビューの冒頭で、本作を観終わって、カントリーという音楽について評論子なりに調べてみた、と書きました。
それまでまったく知らなかった社会のジャンルについて、鑑賞をきっかけとして調べてみて、それまでは知らなかった知見を新たに手に入れるというのも、映画を観ることの楽しみであり、これも映画ファンとしての「醍醐味」の一つなのかもしれないと、評論子は思います。