市民ポリス69のレビュー・感想・評価
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高評価されるような映画ではないけど、ゆるさが妙にツボ
はっきり言って相当くだらない映画ではありましたが、でも、どこか憎めないと言うか、ユル~い作風が、妙にツボな映画でした。
まあ主演があの酒井敏也と言うだけでも相当ユルいだろうなと容易に想像は付いていましたが、その想像をはるかに超えるレベルでユルかったですね。
でも哀愁漂う酒井敏也の雰囲気と作品のユルさが絶妙にマッチしていて、これはこれで十分ありだとは思いました。
ただ惜しいのは、終盤の展開はさすがにダレた・・・ユルい銃撃戦がいくらなんでも長すぎ、思わず見ている方もトイレに行きたくなりましたよ(笑)
102分の上映時間でしたが、出来ればこの内容なら85分前後ぐらいでまとめて欲しかったですね。
さて、舞台となったのは犯罪が今より多発している東京で、善良な一般市民から毎月100名がランダムで選ばれ、30日の期限付きで警察と同等の権限で犯罪者を取り締まることが出来る「市民ポリス」なる制度が施行されていた世の中でしたが、これはもしかして裁判員裁判を揶揄していたんでしょうかね?
自分には関係ないと思っていたら、突然変な責任と権力を押し付けられ困惑する様子は、まさにそれって感じでしたから・・・。
酒井敏也が演じた芳一も、30日間出来るだけ面倒には関わらず過ごそうとしていましたが、ひょんなことから権力の「カ・イ・カ・ン」(酒井敏也だけに)を知ってしまい暴走する様子は、ある種現代社会を如実に表していたなと・・・ユルい作風ながら、何気に考えさせられることも多分にあった映画でした。
とは言え、基本的にはドタバタ劇、何故か酒井敏也と早見あかりのありえないラブコメが展開されたり(ももクロのゲスト出演あり)、佐藤二朗ワールドがチョイチョイ炸裂したり、おいしいところは津田寛治が持って行ったり、ジャケ写の割りにお色気担当の原紗央莉の出番が少なかったり、チョイ役の錦野旦が妙に面白かったりと、何をしたいのかよく分からない深夜ドラマのようなノリの映画でしたが、何だかんだでそれなりには楽しめました。
しかしユル系が苦手な方は、チープ過ぎて見ていられない可能性が高いのでご注意を・・・。
日本映画史に、残ってしまう
「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」などの作品で知られる本田隆一監督が、哀愁を漂わせたら右に出るものはいない俳優、酒井敏也を主演に迎えて描く、ラブコメディ。
人気アイドルグループ「ももいろクローバー」の元メンバー、早見あかりの美貌につられて本作を観賞しようとお考えの皆様、貴方はとんでもない作品を掴まされようとしております。決して、早見嬢が大根女優だからという訳ではありません。この一本・・・混迷の日本映画史に、その名前を刻んでしまうのではないかと危惧しているのです。
凶悪な犯罪が横行している都市、東京。警察組織だけではその安全を守りきれないと判断した都は、善良な市民を厳選し、麻酔銃を託して治安維持に一役買ってもらうために「市民ポリス」制度を始動。主人公、芳一がその一員に任命された事から、秘密組織の陰謀が動き出す。
酒井敏也、つぶやきシロー、錦野旦。このキャスト陣を並べただけでも、観賞に挑もうとする私達の力が「す~っ」と抜けていくようだ。そんな脱力感全開に全編、メッセージ性、社会性を無視した破廉恥コメディ空間が展開されていく。
平凡であることの悲しさ、空しさ、そして微かな幸せをユーモアに包み込んで提示するという表向きのパッケージはあるのだが、思わず涙腺が緩んでしまう感動の殉職であったり、艶めかしいラブシーンなんかを期待して本作と向き合うのは、大きな間違いだ。「・・・バッカだねえ」と、夜中に一人でオホホと笑い飛ばすための物語だけがここにある。
その中でも終盤、大富豪の家で繰り広げられる対決の描写は真夜中、窓を開けて観賞してはいけない。多くは語れないが壮絶に馬鹿馬鹿しい、健やかな大笑い必至、まさに日本映画史に輝くであろう銃撃戦が繰り広げられる。「日本バカデミー映画賞」堂々の受賞である。笑って、笑って、早見嬢にうっとりして、笑って・・そんな心の清涼剤として活用していただきたい、爽快感に溢れた大馬鹿自堕落映画である。
ここにいくら書いても、その味わいは表現しきれないのかもしれない。とにかく、ポップコーンとコーラ片手に気持ちをスカッとリセットしたい貴方、観るべし、である。
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