ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパーのレビュー・感想・評価
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自宅で鑑賞。米国で3D公開された日本劇場未公開作で原題"My Soul to Take"。贔屓のW.クレイヴン製作・脚本・監督──この人の手に懸かると手垢の附いたテーマやモチーフも一捻り効いた鑑賞に堪え得る作品となる。さて本作、米国お得意の学園ヒエラルキーに則った“リヴァートン・セブン”と称する七人を中心に据えたスラッシャー。開始早々緊張感が走る複数の伏線が仕込まれたシーケンスから流れる様に進行。若干の詰め込み満載感はあるが伏線回収も無理無くラストもまずまず。ただイマヒトツ何かが足りない。65/100点。
・特典映像内の別エンディング、車が追い越す“リヴァートン・セブン”の面々の描写は限り無く切ないが、悪くない。故A.セナの若かりし頃を髣髴させる容姿の重要な役所“アレックス”を演じるJ.マガロが特に佳い。
・鑑賞日:2012年5月12日(土)
残暑お見舞い、申し上げます
人気ホラー映画「スクリーム」を世に送り出したウェス・クレイブン監督が、「ジャンパー」にも出演していたマックス・シエリオットを主演に迎えて描く、ホラー作品。
本国アメリカで高い注目を集め、興行的にも一定の成果を挙げた本作。全米を震え上がらせた連続殺人鬼の魂が蘇る・・・という、使い古された感のある題材をテーマに据えているが、そこはこれまでにも製作面で「売れる」作品作りに執心してきた作り手の技量の力技。残暑が残る夏の一日にはぴったりの、青春と恐怖が織り交ざる爽やかな一本に仕上がっている。
多くは語れないが、必然的に登場人物が多岐に渡ってしまう作品である。それでも、個々の特徴ある行動、台詞を的確に、緩急つけて前半部に詰め込んでいるので、「これは・・誰でしたっけ?」という危機的状況に陥らないよう巧妙に配慮がなされている。これも、全米公開時に主なターゲットとなる十代の飽きやすい観客を意識した作りの一つだろう。
主人公を演じるマックス・シエリオットの幅広い世代に受けるイケメン振りを始めとして、特徴のある顔立ちの若手俳優陣を適材適所に配置。「あら、可愛い」と惚れ惚れしながら見ていた女性が、真っ赤な鮮血をダラ~と流すインパクト、眠気を覚ます仕掛け。それでいて、必要以上に惨劇へと突き進まない知性の高さ。
まさに、「いや~ん、タカシ、私怖~い」「僕の手を握ってごらん」「手・・大きい」な熱々カップルが愛を深めるためにはうってつけの作品だ。
前半部の不可解な学園闘争と、後半の殺戮劇の激しすぎるギャップに若干気持ちが萎える部分は否めないが、深く考えずに楽しみたい方には問題なし。もう少々続く暑い毎日、この一本で心身ともにすっきり涼んでみてはいかがだろうか。
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