劇場公開日 2011年6月25日

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「強い父親とは」BIUTIFUL ビューティフル snow2007さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0強い父親とは

2011年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

怖い

難しい

2人の子供を育てる父親が末期がんを宣告され、死ぬまでの2か月間懸命に生きる姿を描く。
テーマはとても重い。テレノベラのダークバージョンといった感じ。プロローグから観客に謎を与え、最期に解決の手を差し伸べるというイニャリトゥ監督のテクニックは今まで同様顕在。今回はオムニバス形式ではなく一歩進化した感がある。
現実はとても重い。家族を支えるために、犯罪ぎりぎりまで手を染め家庭を立て直そうとするが、できない。でも父親はへこたれない。良いと思ってしたことが逆の結果を生むこともある。子供たちを託す相手にセネガルからの不法入国者を選ぶ。それが良かったかどうか、一縷の希望を託す。最期まで子供たちを思って生き抜く姿は一昔前の日本の父親像を見るようだ。父親というものの本質を描いた作品である。
黒沢明監督の映画「生きる」へのオマージュだそうだが、イニャリトゥ監督の料理の仕方は実にうまい!
主演のハビエル・バルデムの存在感ある演技素晴らしい。彼の最高傑作のひとつとなるだろう。

もう一度鑑賞したい作品。

snow2007