「権力者の都合に、庶民を巻き込むなあ ('Д')/」ラスト・ソルジャー とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
権力者の都合に、庶民を巻き込むなあ ('Д')/
価値観の違う二人のロードムービー。地道に生きている蟻のような小市民が少しずつ大将軍に影響を与えていく。
二人のかなえたい夢は同じなのに、とる手段は異なることがわかってからの、”転”かと思いきや。
そしてラスト。絶句・・・。ラストのメッセージは一段と壮大だった。すべて、このラストの為の映画と言っても過言ではないと言いたくなるほどのインパクト。それまでの映画の印象が一気に塗り替えられる。
正直、将軍を追いまわす敵や途中で絡んでくる敵の設定、その顛末は何だこりゃ。壮大な物語がちゃっちく思えてきて映画の魅力半減。
もっと途中で出会う人々や風景のエピソードを絡めて、もしくは二人の会話劇で、戦争というものを描いてほしかった。
派手なアクションはない。職人技の光るアクションに次ぐアクションの連発。
相変わらずの、コントのような。間の取り方がさえている。
小技に見えて、いざ再現しようとすると、今まで培ったチームの力や技がないと一朝一夕にはできないアクションの数々。小気味よい。安定感がありつつも、今回のジャッキー氏の役柄に合わせたアクションがどう繰り出され、相手がどう受け止めるか。おお、そうくるかと飽きさせない。
そこは素晴らしい。演技も含めて、素晴らしいのだけれど…。
エピソードの取捨選択から、脚本は書き直したい…。
そんな感じで筋は面白くなく、中だるみ。途中までは、ジャッキー氏のコミカルな演技とアクションを愛でる映画かなと思った。
マーシャルアーツファンには物足らないだろうけど、私は昔からジャッキー氏が逃げるアクションとか日常生活の中にさりげなく入っているアクションが好きだから、それはそれでOK。ジャッキー氏にしかできないアクションだもの。
けれど、ラストシーンで全てがひっくり返る。
時代背景を考えれば多少予感はしたんだよ。でもその予感以上のインパクト。
戦場の唯ニの生き残りだからこの邦題なのかと思ったが、鑑賞後はこの邦題に脱帽。原題や英語題も意味深だけど、これは悲嘆?願い?…。
こんな無名の兵士ばかりの世の中ならば、平和になるのだろうね。そして二人のうちのラストソルジャー(大将軍)がとった決断。生き伸びる勇気、それこそが偉大だ。
構想20年の壮大なテーマ。
一面に広がる菜の花畑が心に残る。
きな臭い今だから多くの人に観てもらいたい映画です。