人生万歳!のレビュー・感想・評価
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老いたり
不遇のニューヨーク派を支え続けたウディ・アレン、変態と知性を軽やかに融合させた彼はいつの間にか名匠になり、まだまだ映画を量産し続けている。
正直、彼の膨大な作品の中で私は『マッチポイント』『アニー・ホール』の2作品以外はそれほど好きでない。好みの分かれる監督である。
『アニー・ホール』を思い出させるような作品として紹介されたこの作品だが、まさしく思い出させるような作品であって、当時のパワーのようなものは不足しがちでああ彼も老いているのだなと感じた。
主演のエバンはきいきいしとた声の頭の弱い女を演じるのが上手すぎて、頭にくるし、脇役は全体的に演技が弱い。ウディのまくし立てるおしゃべりも過去のチャキチャキの江戸弁のような趣を失ってしまい、どうも着地点が見当たらない映画で落ち着きが悪い。
ただ、老いたとはいえ、『マッチポイント』で魅せた老獪な映画作りは益々冴え渡っており、本来褒めるところが少なかったはずの映画をもう少しで佳作とよんでも良いのでは無いかというところまで押し上げた。映像のセンスとテンポはそんじょそこらの若手アーティスト気取りの監督を遥かに凌駕する。そしてこの映画にはそれだけしかない。
使い古された主張を今もなお力強く歌いあげるパワーに圧倒されつつも、やはり、あんまり面白くねえなと寂しさも感じる映画であった。
みんなも観て確かめて欲しい!ラストは結局、人生万歳なのだろうか?
「人生万歳」のパッケージがズーッとレンタル屋で長い間気になっていても、何だか「人生万歳」と言うタイトルでは、面白そうには思えず、レンタルしなかったら、これが実はウッディ・アレンの作品だった事を最近になって気付いて、慌てて借りて観た。
もう、最高です!!!そもそも彼の映画との出会いは、18歳の時に観た「アニーホール」が凄く笑劇的で、高校生だった私はこんなに面白い映画がこの世の中に在るものかと、心底衝撃を受けたのを今でも昨日の様にハッキリと記憶している。
こんなマシンガンの様に早口で溢れ出るウイットの塊の直球を投げ掛けて来る映画をそれまではみた事が無かったし、ダイアン・キートンの美しさと言ったら、この世の人とは思えなかったが、それにもまして、彼女がウッディ・アレンと恋人役と言うアンバランスさも面白かったし、それ以来全作では無いけれど、随分と彼の作品は観た。
私は彼が出演して演じる役の男達は、皆偏屈男ばかりで、その偏屈ぶりが大好きだし、何処か情緒不安定で、悲観主義者でも有り、いつも皮肉屋で、その彼の口から機関銃の如く発せられるセリフの数々がテンポ良く、しかも、センスの良いウイットに溢れているのがとっても洗練されていて大好きで堪らない!
結局のところ、彼のファンである自分は、彼の様に博識では決して無いのだが、ヘソ曲がりで、偏屈なところが自分にも多く在るのだなって彼の映画を観ていると思えて、相当に自分って奴も他者から見ると気難しくて、付き合い難い、石頭だと吹き出して笑いたくなるのだ!
しかし、決して世の、ウッディ・アレンのファンの方が皆、偏屈で気難しい奴だと言っているのでは無い事を伝えて置きますよ。あくまでも私個人の事を言っているのです!
話をこの映画に戻しますが、今回のこの作品は、久し振りにNYに戻って来たウッディ・アレンの毒舌も健在成りと嬉しくなったけれど、この原題の「Whatever works」って「何でもOK、何でもありさ」って感じの訳だから、何処か皮肉屋のウイットばかりのジョークを飛ばしている彼でも、胸の内では結構多様性を認めている善人なのだと考えると思わずクスっと笑いが毀れてしまう!
メロディー役のエバンレイチェルウッドってもしかして、昔ケヴィンベーコンが出ていた「ウィズ・ユー」の子役だった子?と驚いた、こんなに魅力的な女性になったのか!
「スーパーチュズデー」と「レスラー」も未だ観ていないので、またこれで、新たな魅力に溢れた女優さんの映画を観る楽しみが増えました!
しかし、いくら何でも、これはやり過ぎ??と思ってまた笑いを吹き出したくなるラストの映画だが、新年など、私もちっとも嬉しくも、めでたくも無く、普通で良いのでは?とずーっと昔から思っていた私は、やっぱり偏屈な気難し屋なのだろうか?
でもそれでも何でも良いのではないだろうか?この地球と言う星には、神に似て創られた人間が多数住んでいて、神に似ている筈の人間が織り成す社会が住み難く、困難極まりない世界であり、そして人は悪人であるとするなら、神が不完全だったと言う事か?否、間違ってなど無いのだと思う。不完全だからこそ、過ちを訂正しながら、完成へと進化を続ける事が出来るのだと思うのだ。時に人は愚かで、退化していると言う事もあろうが、この世の総ての物は、変化しない事など無いと言う、不変の法則が働いている様に、ZEROは何も無い事では決して無く、総ての可能性を含有している空の世界で在る、その空の世界には総てが存在しているのなら、人間の社会でも、何事も自分自身がOKしたら、それこそが自分の生きている世界であり、間違いなど無いのだとこの作品は言っている様にも思えるのだ。
同じ地球に住んで同じ物を観ている様に思えるこの世界が、実は幻想であり、本来の世界とは、観察者の影響を総ての物質が受けているとするならば、総ての人達は全く別の世界に住んでいると言う事が出来るのかも知れない。う~ん、この映画やっぱり面白過ぎる!!
新年を祝うのは、嫌いだ。
映画「人生万歳!」(ウッディ・アレン監督)から。
すっかり頑固な偏屈老人となってしまった、
ノーベル賞候補にもなった、元天才物理学者のボリスが主人公。
その主人公の口から、機関銃のように発せられる台詞は、
建前抜きの本音が語られていて、ウッディ・アレン監督らしい。
「残念だが、人間は『失敗した種』だ」から始まり、
「愛は、人々が言うようなものではない。
愛は、全てに勝たないし、永遠でもない」なんて言葉まで。
その中で私が気になったのは「新年を祝うのは、嫌いだ。」
続けて「誰もが必死で楽しもうと、無理やり祝ってる」と言う。
悲しい気持ちで新年を迎えたい人もいるし、
大騒ぎをせず、静かに過ごしたい人もいるはずなのに、
新年くらいは楽しく迎えるべきだ、みたいな風潮が嫌だ、と
はっきりと口にする。
上手く言えないが、なんだかスッキリした感覚になった。
そして、作品の根底に流れているかのような台詞、
「あらゆる幸せは、全てつかの間だ。
だから、うまくいくなら『何でもあり』だ」が印象的だった。
ウッディ・アレン監督らしい、ハッピィエンド作品は、
いつも、人生の楽しみ方を教えてくれる。
手洗いは二回。
名画座にて。
W・アレンの作品を観慣れている人には従来通り楽しめる作品かと。
人生を達観するようになる彼くらいの年齢に達すると^^;ヒトは皆、
こんな風に「何でもアリ」な世界に浸れるようになるのか…が分かる。
ほぼ自伝じゃないの?というか(少し前なら)自分で演じる役どころの
中年(高年)オヤジをL・デヴィッドが楽しそうに(おそらく)演じている。
まぁストーリーがあるといえばあるけど、無くても成り立つような^^;
恋愛を中心に知性を振り回す皮肉に満ちた高感覚バラエティ映画。
台詞のひとつひとつが「なるほどね~」とか「バカじゃないの」と思える
ほど楽しいところが彼らしく、特に私は手洗いのシーンが気に入った。
あんなのが娘の夫になったら、それこそ倒れるのも分かるけど^^;
そういう自分があんな関係を結んだり、と思ったら夫まで?だったり。
このメロディって娘の家族はもうメチャクチャじゃん!!と思うんだけど、
傍で観ているとものすごく楽しい^^;隣の芝生と不倫は常に注目の的。
うら若き田舎者娘が捻くれ王者のオヤジに惹かれるのも、はじめは
物珍しさ、尊敬が愛情に、愛情が同情に、同情が介護に。(あ^^;)と
生活が絡んでくると日常が露わになるので、このへんも仕方ないかと。
…そのあたりも人生達観視できる監督になりますと(爆)
シャラっと纏めて文句も垂れず^^;次の展開に持ってくところが素敵。
あぁ~そうですか、しまいには占い師さんですか^^;もう来世ですわね。
(どこまでふざけてるんだ?が出せる唯一の監督。一年に一本は観たい。)
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