劇場公開日 2010年10月23日

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「ギャスパー・ウリエルは天使になった」約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ギャスパー・ウリエルは天使になった

2022年3月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「僕は、褒美も罰も与えない。現れるだけだ」。

2022年1月19日にスキー場で事故死。37歳。

とっつきにくくて触れ合うことを拒む天使の面立ちに重なって
若くして散ったギャスパー・ウリエルの、余りに儚い(はかない)この世への出現 と 逝去。
主人公ソブランならずとも守護天使の消失には呆然自失するばかりだ。
いい俳優だった。

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天的存在(悪魔)の力を借りてその才能を爆発させたと言われるのは ヴァイオリニスト タルティーニだが、
ワインのネゴシアンたちもその能才を夢に見て、天使を捜し、醸造の知恵と幸運を天使に懇願するのも当然だろう。

豊作と凶作、
ワインの当たり年と不作の年、
そして人間の努力と挫折の心の揺らぎを、天使の囁きに教えられる映画だ。

目に見える明らかな成功は嬉しい。
それと同時に逆に我々を苦しめる失敗も 僕らの目を引くし、心を捉えてしまう。
しかし
“天国と地獄のはざまに真実が存在する”のだと
男爵夫人が開いたこの本の言葉。僕らの人生のごくごく平凡な真ん中の部分が、人間生活の大切な核なのかもしれない。

天に属さず、黄泉にも付かず、中空を彷徨う天使、
そしてワイン作りに迷い続けるソブラン。

やっと自分の居場所を見つけた天使がその羽を落として(=寿命という人間の運命を受け入れ、地に這いつくばって生きる一生を負う=)農民になった時の、彼の満ち足りた表情の可愛らしいこと!

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ワイン醸造所に勤め、ブドウ畑を歩いた僕としては、たくさんの事を思い起こさせてくれるすてきな映画だった。

きりん