日本のいちばん長い夏のレビュー・感想・評価
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壮大な座談会
「文藝春秋」編集者の半藤一利が、東京の料亭「なだ万」で戦後18年の1963年6月20日に当時の軍人や政治家、銃後の人など28名を集め徳川夢声とともに司会を務め、約5時間にもわたる終戦の日を語る座談会を開いた話の再現ドラマ。
座談会は『文藝春秋』1963年8月号に「日本のいちばん長い日」と題して掲載された。2007年に半藤による解説を加え、『日本のいちばん長い夏』の書名で新書が発行され、本作の元となったようだ。
太平洋戦争の終戦末期、当時の国際情勢や要人たちは何を葛藤していたのかをまとめ、戦後生まれの世代への伝承が必須と企画された。
元内閣書記官長の迫水久常、元外務次官の松本俊一、元駐ソ連大使の佐藤尚武、元軍令部第一部長の富岡定俊、元第八方面軍司令官の今村均、元陸軍省軍事課長の荒尾興功、元内閣総合計画局長の池田純久など、歴史の証言者たちが一堂に会した、著名人ではないが沖縄で看護婦だった楠政子さんの死を目前とした体験談は凄まじかった。
確かに語られる内容は貴重、中でも当時の鈴木貫太郎内閣の最大の愚策とされるのが中立条約を結んでいたソ連に米英との和解の仲介を頼むというものや、無条件降伏を決議した7月26日のポツダム宣言を日本がすんなり受諾していれば広島長崎の原爆投下は防げたのではないかとの指摘に、アメリカ軍は既に7月24日に広島、長崎、新潟、小倉への原爆投下を決定していたから手遅れだったという話は驚きました。
映画「日本のいちばん長い日(1967)」で描かれた玉音放送を阻止しようとする陸軍のクーデターの話は出てきませんでしたね。あと、北海道をも占領しようとしたソ連軍の企みに立ちはだかった第5方面軍司令官、樋口季一郎中将の逸話もなかったのは残念。劇中で流れた「お山の杉の子」の当初の歌詞が国威高揚の軍歌もどきだったのは初耳でした。
日本人なら知っておくべき歴史の一節、自由と平和を大事にする意味でも若者には是非観て欲しい力作を撮ってくださり製作陣に感謝です。
誰がポツダム宣言を受諾したのか
昭和38年に行われた座談会を再現、誰がポツダム宣言を受諾したのかを明らかにしている。
ソ連参戦の密約や、原爆投下の意思決定時期など、政治家と軍部の関係などが明確に語られる。
東南アジアの日本軍兵士、沖縄戦での従軍看護婦などの話しは涙なくして聞くことは出来ない。
予想外によかった!
知的興奮!の展開
公開前ですが試写会で鑑賞しました。
いったいどんなものだろう??と先入観を持っていた「文士劇」という演出スタイルですが、重いテーマを伝えるために、とても効果的な演出と見終わったあとに大納得。
学校の授業等で教えられる表面上の事ではない、全く知らなかった戦争の真の部分を見る事が出来るとともに、言葉が単なる台詞ではなくリアルなものとして伝わってきます。
ドキュメンタリードラマという事実に基づいた展開に鳥肌が立つような知的興奮を覚えつつ、310万人もの同胞が戦争で亡くなったという事実には、ただただ呆然としてしまいます。
バラエティー番組とは違った迫真の名演を見せる国際弁護士の湯浅さんをはじめ著名文化人の方々の演技も自然で、素晴らしい作品でした。
見終わったあとにテーマについて人と話したくなる映画です。
ただ普天間問題とか核廃絶とか自分には関係ないことだ…と思っている人たちには「寝られる映画」なのかもしれません。
はやりの3D映画もいいですが、こういう骨太のドキュメンタリーが支持されるとすれば、日本の未来も明るいのではと思います。
ざっとネットで感想を探ってみても、否定的な意見よりも評価する意見が多いことに、日本の未来に希望が持てる思いです。
これって映画?
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