劇場公開日 2010年11月6日

「見本市、動きます」マリア様がみてる ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0見本市、動きます

2011年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

萌える

「華鬼 三部作」などの作品で知られる寺内康太郎監督が、「女の子ものがたり」の波瑠を主演に迎えて描く、学園ドラマ。

映画化された原作は数多く存在する。その中にあって、本作ほど原作未読者に対して不親切な作品も非常に、稀ではなかろうか。まるで、ゴールデン枠のバラエティで「俺、あのマンガのあのキャラクターの、あのセリフが好き」「分かる~私も私も」と一部の方々で盛り上がり、勝手にその漫画のクイズ大会を開いて楽しんでしまうような雰囲気そのままである。

「いや~その漫画読んでませんよ」と言ったが最後、「じゃあ、あっち行けよ」と冷淡にあしらわれる。まあ、何の番組をさしているかは言いませんが。

さて、本作である。清純そのままのお嬢様方が密集する私立リリアン女学園。その花形である生徒会を舞台に繰り広げられる物語であるが、本作の大きなキーワードとなる「姉妹の契り」。一人の平凡な生徒が、学園全体のスター生徒との繋がりを作っていく上で外せない要素のはずだが、実はこの作品、その大事な、肝な制度の説明を卑劣に省略している。

特殊な学園生活を構築する主軸が、曖昧なままに展開されてしまうと「・・何で、そんなに妹にこだわるのだ?」「泣くほど大事なのか?」と観客は完全に孤立無援の欲求不満。おまけに学園内の謎の別称も説明カットで挿入されてしまうので「・・・誰のことだ!」と怒りばかりこみ上げる。不親切というよりも、クラスで無視されるいじめられっ子の心情である。

物語として映画館にかける以上、最低限の説明なり導入部を用意しなければカルトムービーとして位置づけざるを得ない奇抜な設定であることを忘れた作り手の大きな誤算が生んだ奇形児の風格。この映画をどうすれば良いかを考えるほど、私もお節介ではない。

そうはいっても、出演している女優陣は皆魅力的な美しさと個性を兼ね備えた人材が揃っている。何はともあれ、将来の日本映画界を支える女優の皆様をチェックする「動く、見本市」として観賞すべきだと言えるだろう。

ダックス奮闘{ふんとう}