「愛は同情じゃない。」親愛なるきみへ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
愛は同情じゃない。
N・スパークス原作といえば「きみに読む~」が思い浮かぶんだけど、
あれがあまりにいい作品だったので、今回も期待していた。
う~ん…でも今回の話はどうも今ひとつ、琴線に響いてこなかったな。
それはなぜか。
出逢って2週間で恋に落ち、その後彼氏は戦線へ。離れ離れの日々を
お互いの手紙でやり過ごし、やっと彼が退役できる日を迎える矢先に、
あの9.11テロが勃発。軍から離脱できなくなった彼に、彼女も耐えるが、
やがてずっと続いていた彼女からの手紙が途絶え始める。そして…。
概ね行き先が読める物語なんだけど、彼が軍にいるいないというよりも、
遠距離恋愛に悩むすべてのカップルに通じる話なんだと思う、これって。
逢いたいのに、逢えない。話したい時に、話せない。とても寂しい…。
わずかな時間を利用して帰省したり、何とか頑張るものの、やはりね~
どこに勤めていようが、何をしていようが、付き合いが続く・続かないは
どこのカップルにも同じ悩みが渦巻いているんじゃないだろうかと思う。
昨今では、
近くに住んでいても仕事が忙しくて(仕事優先)デートもほとんどしない、
なんていうケースも多いそうで。ますますすれ違いの差が溝を作るのね。
まぁ男にとって(最近では女も同じですが)仕事は大事、それを捨てたら
デートはおろか、彼女を支えることもできなくなるのだし、難しいわな~
そこそこの仕事で、そこそこに時間がとれて、そこそこに逢える状態、
なんていう巧いお付き合いができればね^^;まぁ問題ないのかもだけど。
でもどうなんだろうか。
だからといって近くにいる異性とくっ付いてしまう(結婚は一生なんだぞ)
っていうのは^^;昔の結婚じゃあるまいし、安易すぎやしませんか。
そもそも私が気に入らないのはこの隣家のおじさん!!
知的障害の子供を抱えて妻にも逃げられて、さらに自分が病気になって…
辛いのは分かるけど、自分亡きあと子供のために、ってのはどうなんだ?
(介護目的の結婚?なんで男ってこういう手段に出れるのかホント不思議)
以前から彼女が好きだった、でも彼女は今でも君のことが好きだよ…だと?
何じゃいな!それは。いちばん好きな女の人生を横取りして幸せになるだ?
違うだろうがオッサン。彼女の面倒をみてきた分、子供の世話を手伝って
もらうのは構わないとしても、他の男を好きな女を…分かっていながら…
酷いじゃないの。断れない女を前にして、あんまりだ。。。
まぁ昔なら、こんな結婚話は五万とあったんだろう。
好きな人と別れて、親の決めた相手と結婚するとか…普通にあったもんね。
今は自由恋愛、なんていいながら、実際まったく自由時間がとれていない
なんていうのを聞くと、昔も今も変わってないのかなぁ、、なんて思うけれど。
恋愛話と並行して描かれる父と息子の絆。
この父親の真実(実は私もそう思った)を見抜いた彼女もさすがだったが、
家族にも辛い現実をきちんと受け入れて向き合っていこうという姿勢は大切。
まして結婚となれば、彼女はこの父親の介護も(いずれ)することになるのだ。
他人なら知らんぷりする事実を(まだ他人だけど)彼に告げて、協力しようと
する彼女は健気だった。父親の真実を受け入れ向き合い、過去の想い出に
心を馳せる彼もなかなか良かった。というわけで、いい話ではあるんだけど。
そもそものテーマがどこにいったのか、どうもっていきたいのかが見えずして、
辛い別れや死を前面に推し出したところが、自分には今ひとつだった。
どんだけ親愛なるきみだったのか、もっと魅せつけて欲しかった気もするし…
主演の二人、C・テイタム、A・サイフリッドは初々しくてとても良かった。
そして父親役R・ジェンキンスの作る料理に、毎回涙が出た。巧いなこのヒト。
(大好きな人の手は絶対に離しちゃダメなんだよ。どんなに辛い目に遭っても)