「いい意味で期待を裏切る良作」さんかく msn00100さんの映画レビュー(感想・評価)
いい意味で期待を裏切る良作
クスっと笑ったり、大笑いしたり、驚きおののいたり、心が痛かったり、とても面白い映画でした。
キュンとくるラブストーリーかと思いきや、ホラーサスペンス!いや、でもやっぱりラブコメだったかも…?という印象でした。
最初は、「ああ、あるある」「いるいる」の連続だったのが、とんでもない方向に物語が進んでいき、でも最後は心がほっこりしました。
誰しもが経験した事のある片思いでもエスカレートしすぎるととんでもない事になるから気をつけなさいよ、という教えでもありました(笑)
エスカレートしすぎなストーリーでも、役者さんの演技もとても良くて、観ているうちにぐいぐいと引き込まれていきました。
高岡君演じる百瀬が桃に手を握られた時の表情、1日お泊りでいなかった桃が帰ってきた時の表情、なんとも切なくていい目をしてます。
百瀬の中では佳代の存在はすっかり忘れ去られ、桃との美しい純愛の世界なのだろうと思わされました。
桃への思いがエスカレートしすぎた後半は良い意味で気持ち悪いくらいでした。
桃に対しては声までデレデレしてるのに佳代に対してはあからさまに表情や声にも苛立ちが見えるのも上手かった。
しかし我に帰って落ち込む姿はなんだか情けなくも愛しくて、佳代の「バカだけど好き」という言葉の意味が良く分かりました。
田畑さんも熱演です。
高岡君とのシーンは長回しが多かったのですが二人とも息ぴったりでとてもナチュラルなお芝居で、本当にカップルの痴話げんかを覗き見しているかのようなリアリティがありました。
百瀬への気持ちがエスカレートしすぎて感情を爆発させる激しいシーンはあまりの迫力に良い意味で怖かった。
でも百瀬に嫌われたくなくてシュンとしてしまう姿がとても健気で愛おしかった。
ラストもとても良かった。こんな素敵な人に思われてたら幸せ。
小野さんも瑞々しさがとても良かった。
姉に隠れて手を握った後ににこっと笑う姿、「おかえり」とにっこり微笑む姿、夜中にトイレの前でばったり会ってじっと見上げる仕草、たまらないですね。
あれじゃ百瀬が本気になってしまうのも仕方ない。
桃と百瀬においては百瀬目線描写しかないので百瀬に対する桃の心理が描かれることがない。
そこが桃が一体どういうつもりで百瀬に近づいたのかが最後までわからなくて良いんじゃないのかな。
百瀬というキャラクターに自身を投影したという監督の思い描く理想の小悪魔像というのが納得です。
脇の役者さんも面白かったです。
マルチ商法の上司、刑事さん、百瀬の同僚、良い味出してました。
これは友達にも面白かった!と勧めたい作品です。