「馬鹿馬鹿しいけれど温かみがあって良い演出と撮影で見せてくれる」ソウル・キッチン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
馬鹿馬鹿しいけれど温かみがあって良い演出と撮影で見せてくれる
総合:70点
ストーリー: 60
キャスト: 80
演出: 80
ビジュアル: 75
音楽: 70
七転八倒な物語は現実感もなくて、特に後半は無茶苦茶なのだけれども、物語重視の喜劇ではないので許容範囲。大爆笑するような喜劇ではないのだけれども、なんとなく微笑ましく彼らの駄目っぷりを眺めていられる。食べ物や調理の美しい撮影、人物の表情の捉え方、人々の行動をカメラを動かしながらの撮影など、演出や撮影方法がなかなか上手で良い感覚を持っている。画面の切り替えの早さのうまさもあって、ちょっと馬鹿馬鹿しいながらも見ていて悪い気がしない。主要登場人物たちはみんな個性が際立っていてわかりやすいのも良かった。
ドイツの映画なのでわかりにくいし特に説明もなかったのだが、登場人物の名前がドイツ語らしくなくて違和感もあって調べてみたら、実は移民が数多く登場する。主人公とその兄はギリシャ系移民という設定だし、トルコ系の整体師も登場するし、そもそも監督からしてトルコ系。主人公やシェフ役の俳優も移民。ドイツ社会で苦労している移民のことを温かい目で滑稽に見つめているのかもしれない。この映画もレストランを繁盛させるような成功物語とかでなくて、異国で苦労しながらも懸命に生きている移民たちを優しく面白く見つめているように思える。
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