「すべてが古クサい」ロストクライム 閃光 広谷賢次さんの映画レビュー(感想・評価)
すべてが古クサい
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「昭和最大のミステリー」のひとつに挙げられる1968年の「3億円強奪事件」が解決されない理由を新旧2人の刑事が暴き出すサスペンス・ミステリー。現代の東京で起こったラーメン店主殺人事件を捜査する老刑事と若手刑事のコンビが、殺人事件と3億円事件の繋がりを見つけだし、警察組織のタブーに挑んでいく姿が描かれる。
伊藤俊也監督らしく、変わらず国家権力への反抗を描いているが、11年のブランクは大きかったか、脚本・演出ともに古くさい。若い刑事が真犯人に向かって「お前は拳銃ではなくペンで復讐するんじゃなかったのか!」と吐くシーンは目を覆いたくなるくらいに恥ずかしいし、奥田瑛二扮する老刑事のキャラクター造形も紋切型。監督が役者への演出を放棄しているとしか思えないほどに奥田は好き勝手に老刑事を演じていて、痛々しい。
ラスト、若手刑事役の渡辺大が見せる「睨み」は「女囚さそり」の梶芽衣子をほうふつとさせるが、ちと迫力不足でした。
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