「見せ場盛り沢山のひねくれアニマル西部劇!」ランゴ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
見せ場盛り沢山のひねくれアニマル西部劇!
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の監督・主演コンビ最新作。
同シリーズに対してあまり愛着の無い自分なんですが……
『ランゴ』は楽しかった!
アクションも楽しいキャラも作り手の遊びも盛り沢山の映画でしたわ。
酒場でのやりとりや決斗シーン、幌馬車チェイスなど、西部劇チックな意匠がたっぷり。
と思いきや、『GODZILLA』や『ワイルドスピードMAX』で見たようなシーンも
さりげなーく織り込まれてたりするし。
ハンス・ジマー先生のスコアも相変わらず良い!
ギター掻き鳴らしながらみんなで「ゥランゴォー」(笑)。
作り手が楽しんで作ってる感じが伝わってきて良いっすね。
キャラもちょっとひねくれてる。
本作のキャラはほぼ全て、ヘンな風貌をしたトカゲやらネズミやらばかり。
色んな顔の動物がわんさか登場するのも楽しい点だ。また、動物にとっては金銭より水の方が切実な問題という訳で、
西部劇のように金や金塊ではなく、水の所有がステータスとなる点もユニーク。
その水を独占する敵の正体も、こちらの心をチクリと刺される感じ。
だけど、
ゴア・ヴァービンスキー監督って笑いのセンスがちょっとブラック。
しかも時々……いや、しばしば悪ノリする。更に、その悪ノリがしつこいからいけない。
それが顕著な中盤の展開はどうにも間延びしてると感じてしまった。
ま、いいか!
だって、その後のクライマックスの高揚感ったら無いもの!
それまで自己満足の為にヒーロー“ランゴ”を演じていた主人公が、
自分を信じてくれた人々を守る為に、本気で“ランゴ”になろうとする。
……最後はもう、ヒーローになるとかどうとかは関係無かったのかもね。
ひょろひょろカメレオン君がものすごーくカッコ良く見えてくる。
ラトルスネーク・ジェイクの退場もカッコイイぜ。
悪役にあんな粋な去り際を用意してるとはね。
以上、見どころ盛り沢山でちょっぴりブラックなアドベンチャー大作でした。
荒野や夕陽などの風景も実写と見間違うほどに美しかった。
もっと尺は短くてよかったと思うけど、これだけ楽しませてくれたんだから、満足!
ところで本作の終盤に登場した“あの往年のスター”っぽい精霊。
エンドロールで確認してみたら、声の出演は
『ダイハード4.0』『クレイジーズ』のティモシー・オリファントだった。
なかなか良い声してたが……さすがに本人は出られなかったのね。
<2011/11/19鑑賞>