「刑罰について考えさせられました」瞳の奥の秘密 めもぺんさんの映画レビュー(感想・評価)
刑罰について考えさせられました
クリックして本文を読む
よく練られた脚本がすばらしい。特に、愛する妻を殺された男が出した結論には衝撃を受けました。
日本は先進国では数少ない死刑存置国家。被害者感情の慰撫、という理由で、世論調査でも国民の8割以上が死刑という刑罰を支持しています。だが、本当に、それは被害者の心に沿った措置なのか・・・事件から25年後。殺人犯を追い続けた主人公が被害者のもとを立ち去る時の表情が印象的です。
犯罪とは、加害者と被害者(遺族)の運命の交錯。そこには国家権力も、被害者の心に寄りそろうと人生をささげた誠実な正義さえも、第三者でしかありえない。そのことを悟り、主人公はラストで自分の人生を生きる決意をしたのではないでしょうか。主人公はおそらく小説の完成を断念したでしょう。
私はアルゼンチンの司法制度や政治についての知識は乏しく、そこは想像で補うしかありませんでした。もし、この映画をこれから見るならば、ちょとでもアルゼンチンの現代史を予習していくことをお勧めします。
サッカー場での躍動的なカメラや、主人公の相棒の味な演技なども見所です。
コメントする