「「無事、下山」なんて、誰が読む?三面記事だ。」アイガー北壁 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
「無事、下山」なんて、誰が読む?三面記事だ。
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映画「アイガー北壁」
(フィリップ・シュテルツェル監督)から。
ドイツ・オーストリア・スイス合作と知って、
へぇ、ヨーロッパもすごい作品をつくるな、と感激した。
前人未踏のアルプス連峰の難所・アイガー北壁に挑んだ若者が、
途中のアクシデントで、登頂を断念して下山することに・・。
それを知った途端、マスコミは取材をやめ撤退を指示して叫ぶ。
「記事になるのは、栄光か、悲惨な結末だ。
『無事、下山』なんて、誰が読む?三面記事だ」と。
しかし、下山にも登山に匹敵する真のドラマが待っていた。
マスコミ関係者の上司は、登山が始まる前、部下にこう言う。
「(我々が)悲しいのは、真のドラマはみられないってことだ。
記者や読者の宿命だ。我々は、登頂前の騒ぎを報道する。
登頂後も同様だ。しかし、肝心の中身は、想像するしかない」
その真のドラマを「下山」という地味な行程の中で見せつけられ、
その、生死をかけた生きざまに、愕然とさせられることに・・。
悲しい結末に胸が締め付けられて、息苦しくなるほどの緊迫感、
今回ばかりは「無事、下山」という記事が読みたかったなぁ。
P.S.
ラストシーン「ベルリンへ戻ろう」と声を掛けられた主人公の女性、
さっきまでの悲しみをすぐ忘れてしまう上司に向かい、ピシャリ。
「もう戻りません、たくさんです、あなたみたいな人たちは」
この台詞で、胸がす~っとしたことを付け加えておきたい。
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