「モリエールは演劇ではすごく有名な人なんだそうだ」モリエール 恋こそ喜劇 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
モリエールは演劇ではすごく有名な人なんだそうだ
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総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:85点|演出:80点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
喜劇を大の得意にしていても本当は悲劇をやりたいモリエールが上演する悲劇には、このような体験があったからだ。そのような想像をかきたてる、可笑しくもちょっと悲しくていい話になっている。最後で気が付いたが、映画は喜劇で始まり喜劇が続くのに、最後には彼のやりたかった悲劇の混じった喜劇で終わる。そのような構成までもが伏線として考えられていた。
でも自分としてはそのような物語の流れよりも、欲に憑りつかれたいい加減な人間たちが織り成す滑稽で機転の利いた科白と演技が楽しかった。それに登場人物たちが個性的で良い。主人公のモリエールの軽快な演技は存在感があったし、成金趣味丸出しのジョルダン、狡賢さを自分の欲のためだけに使うことに何一つ躊躇いを見せない人間の屑そのもののドラント伯爵、美人で機智に富みながらも鼻持ちならない貴族の特権意識の塊のセリメーヌ、そしてモリエールと恋に落ちる美しい悲劇の人妻エルメールと、みんなが動き回って飽きさせない。無理に綺麗に話をまとめなくても、13年前の話だけで十分だった。でも自分はモリエールを全く知らなかったのだが、演劇界ではこの人はけっこうな有名人らしくて、彼の人生や喜劇のことを良く知る人はまた違う印象を持つのかもしれない。
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