劇場公開日 2010年1月16日

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「ダークでパワフルでファニーなスーパーヒロイン、北欧に誕生」ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ダークでパワフルでファニーなスーパーヒロイン、北欧に誕生

2010年7月13日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

スェーデンの作家、スティーグ・ラーソンの処女作にして遺作となった大ベストセラー小説「ミレニアム」シリーズ。著者が処女作出版直前に急逝したという、まるで「レント」のジョナサン・ラーソンのような展開が個人的になんだか気になっていた。死んだからという理由だけで本がバカ売れしたわけではないけれど、彼の死がこの作品を妙にミステリアスな存在にしているのも事実ではないかな。

 正直、ストーリーにそれほどの斬新さやサプライズは見られなかった。なのに2時間半という長尺を長く感じさせないのは、安定感のあるスリリングなトーンが終始途切れずに観客を牽引し続けるからかもしれない。聖書絡みの猟奇殺人といえばデビッド・フィンチャーの「セブン」があるし、それを超えるには何か違う切り口が必要だと思う。本作の場合、それは舞台が凍てつく大地・北欧スウェーデンであるということ。

 ヒロインはスェーデンの新星、ノオミ・ラパス。彼女、かなりカラダ張ってます。正直目を覆いたくなるようなシーンも多く、だけどリスベットの目に宿る不屈の闘志から目をそらすのももったいない。彼女の情緒不安定なところやガッツがドラマの最大の見所だけど、キャラクターの個性も手伝ってかなり大味感がするのは否めない気がする。

 スェーデンというとアート系の作品が多いように思うけど、こういった趣の作品も北欧の冷たい大地によく似合うなぁ。

ikuradon