「静なる絶望と幸せ。」ずっとあなたを愛してる ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
静なる絶望と幸せ。
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名画座にて。
実は私も多くの意見とほぼ同じで、この事件の真相を
いちばんのメインに考えていた1人だった。
なのでラストに明かされる真相を…あぁ~そうなんだ。
(まぁその前でなんとなく分かるが)という平常心で観て
しまったせいか、衝撃というものは感じない作品だった。
それよりやはり本作は、主演のK・S・トーマスの演技と
妹役のE・ジルベルスタインのコラボを観る作品と思った。
幼い我が子を手にかけた母親の絶望感と生の無意味さを
淡々とみせるトーマスの演技が秀逸で、他を排する行動
をとればとるほど、実は人間的に豊潤な心を持っている
ことが露呈される姉。どう見ても彼女が殺人など起こす
とは思えず、これは何か理由があるのだとすぐに分かる。
そして、十何年もの間両親から姉のことを忘れさせられ、
ただ自分の幼い頃の記憶のみで姉を迎え入れる妹。
この妹のとる行動が真に素晴らしくて、猜疑心を向ける
夫や娘たちをも納得させる勢いがある。
あぁ家族って、、、姉妹って、、、と感動してしまう場面。
タイトルのずっとあなたを…というのは誰でも当てはまる。
地味で淡々と紡がれていく物語なのに、次第に心が温かく
なってくるのが分かる。そんな作品だ。
推理的要素やサスペンスタッチを期待すると肩透かし。
フランス式心の旅路のような家族の再生物語となっている。
(豊かな心に育つためにはやはり愛に満ちた記憶が大切だ)
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