「熱くなれることは素晴らしい」アンヴィル!夢を諦めきれない男たち L’argentさんの映画レビュー(感想・評価)
熱くなれることは素晴らしい
30年間ケンカはすれどコンビを解散せずに、時代などお構い無しに自分たちのスタイルでひたすらヘビメタを歌い続けてきた50歳を過ぎた2人。
ヘビメタが無ければ人生は成り立たない と言い切り、髪が薄くなり 顔の輪郭にも衰えが見え始めて来てはいるし、今では音楽では食べてゆけず、それぞれ音楽とはまったく無縁の仮初め的仕事で食い繋ぐ日々を送る。
数十年前まではボン・ジョヴィらと共には何万人という観客を沸かせていた栄光の時代もあった。
しかし、今はヨーロッパツアー と聞かされ「これでレコード会社からオファーが来るぜ」と胸躍らせ各国を廻るも、ライヴを行ったクラブでは店主から「お前たちが歌ったら客が帰った。金は払えない。」と言われ言い争い。
ツアーと言えどアーティストたちの99.9%はギャラをもらってないと内情をぼやく。
それでも、自分たちスタイルのヘビメタを愛する。
曲を作り、演奏し、歌い、自らレコード会社に売り込むも、現実は甘くはない。婉曲に「古い」と評価はしてはもらえない。
が、彼らはめげない。
何故なら、心からヘビメタを愛しているのだ。
故に、自分たちの道を信じて突き進むだけ。
その熱い想いが伝わってくる。
例え普段ヘビメタなんて聴かない人でも、そこに確かに熱いものがあることだけは伝わってくるはず。
映画の中でのラストライヴはなんと日本。
日本のプロモーションからオファーが来たのだ!
果たして5人以上の観客、ファンはいるのか?
蓋を開ければそこには何千?万?もの熱狂したアンヴィルのファンたちが待ち構えているではないか!
私はリップス、ロブと同じ気持ち(多分)で、胸が熱くなり
「明日からも頑張る!」と図らずも涙してしまった。
映画館でANVILのCDが売られていて、迷わず買い求めた。
2人は「夢を見られることは素晴らしいんだ。夢は生きる糧だ。」と教えてくれた。