劇場公開日 2009年10月10日

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「飯田監督の優しさと勇気にスタンディングオベーション」犬と猫と人間と septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0飯田監督の優しさと勇気にスタンディングオベーション

2009年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

公開初日、上映前舞台挨拶つきで鑑賞してきました。
その前の上映も、今回の上映も、満員札止めの大盛況でした。

そんな盛況ぶりに気持ちを良くしたのか、
それとも作品への大きな反響に責任感が増したのか、
急遽、上映後にも飯田監督の舞台挨拶が行われました。

飯田監督みずから、上映前に作品の解説をし、
上映後に詳細の説明と、お礼を述べてくれる。

さらに、パンフレットを購入したところ、
飯田監督と一対一で作品のことを語らせていただき、
おまけに直筆のサインまでしてくれました。ありがとうございます(笑顔)

☆彡     ☆彡

なに、これ
勇気ある作品だな
よく120分にまとめられたな
わたしA+をつけるけど、評価以前にスクリーンを
最後まで直視できず、途中退席してしまう人も、いるんだろうな・・・

エンドロールが終盤にさしかかったとき、
イベントがあった回だから、絶対拍手がおきるに違いない。
誰よりも、大きく拍手をしよう。準備を完璧に整えました。

客電点灯。
よし!拍手するぞ!!と構えたら、誰も拍手をしない。
え~い、一人でしてやれ!と、覚悟を決めたその瞬間。

「みなさま、飯田監督が、皆様に急遽御挨拶をしたいとのことですので、
 そのまま、席に座って、お待ち下さい」と受付スタッフから客席に声が。

飯田監督の姿が見えた瞬間、
劇場からは割れんばかりの拍手が起こり、
わたしも、手のひらが腫れんばかりの拍手をしてしまいました(苦笑)

◇   ◇

冒頭に記した感想を順に紐解いていきましょう。

“勇気ある作品”

キーワードは日本のペット業界の現状が
ペット大国=ペット天国ではないことに起因します。

野良犬、野良猫、飼い主が飼いきれないと持ち込んだ
ペットたちが、保健所で殺処分される数。1日あたりで平均すると、
1日に約1000匹のペットたちが、処分をされている計算が成り立ちます。

飯田監督がこんな話をしてくれました。

「テレビ局関係者に聞いたところ、こういった話題は、
 たしかに高い関心を集める。でも、視聴率が伴わない」

つまり一般公開を前提で作るけれども、
まったく受け入れてもらえないリスクもあった、ということ。

事実、注射による殺処分シーンもあります。
殺処分をする機械・場所、殺処分直前のペットも映し出されます。

わたしも犬を飼っていたペット好きですから、
正直、ここまで映さなくてもいいじゃないか、と涙が止まりませんでした。

“よく120分にまとめたな”

取材開始は2004年です。
キッカケは下高井戸シネマにて、
ネコおばあちゃんとよばれる、お婆ちゃんから飯田監督が「不幸な犬猫を
減らしたい。だから、私のお金で映画を作ってほしい」と相談を受けたこと。

それまで、飯田監督。
ペット業界に、まったく関心がなかったそうですが、
書物を読み、関係各所に取材を申し込み、なんと動物
愛護先進国、イギリスにまで、取材をしに行ってしまいます。

わたしが、過去のドキュメンタリー作品を観た上で、
関心?感動?それとも勇気ある?と一番心が震えたのが、
飯田監督自身が取材をさせていただいているペット保護施設の
責任者に対して、その施設にて問題のあった犬に対するしつけ方法について、
飯田監督と責任者2人が映る位置にカメラを置いて、直接自分の意見をぶつけたこと。

これまで観てきたドキュメンタリーって、
あくまで対象を映すのみで、監督自らの主義主張をここまで
はっきり押し出す作品はなかったのです。鑑賞後、さらにこのシーンに対しては、
感動が増しまして、この場面。どうしても、責任者の人と1対1で話をしたくて、
撮影スタッフを同行せず、早朝を狙って、監督一人で責任者を待っていたそうなんです。

その真摯な姿勢にも胸を熱くさせられました。

☆彡     ☆彡

最後の感想は、そのままです。
この手の作品。ダメな人は生理的に受付不可なのは間違いない。
わたしのように、A+つける人もいれば、評価なんてしたくない!!
意見というか、感情的な御意見も含めて、真っ二つに評価が割れる作品でしょう。

わたしは、
飯田監督の取材関係者への優しい思いだけでなく、
犬や猫を、撮影するときに、犬・猫の目線にまで、
カメラを下げ、同目線ローアングルで撮影をする。

そんな動物に対する細かな、しかも動物のことを
心の底から真剣に考えていなければできない心配りに
こちらも素直に心の底から感動をしましたのでA+をつけさせていただきます(笑顔)

septaka