誰がためのレビュー・感想・評価
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【第二次世界大戦下のデンマークで、ナチスへのレジスタンス活動をした二人の男の苛烈なる日々を描いた作品。全編に亙る尋常でない緊迫感と、悲哀が重く残る作品である。】
ー ナチスへのレジスタンス活動の映画化と言えば、チェコと英国のレジスタンスたちが、ナチス高官、ラインハルト・ハイドリヒを殺害した”エンスラポイド作戦”を描いた「ハイドリヒを撃て!」が記憶にあるが、この作品も彼の作品に劣らずに苛烈であり、鑑賞後の重い余韻が残る作品である。-
■第二次世界大戦末期、打倒ナチスを掲げるレジスタンス組織“ホルガ・ダンスケ”のメンバーであるフラメン(トゥーレ・リントハート)とシトロン(マッツ・ミケルセン)は、ゲシュタポとナチスドイツに寝返った売国奴の暗殺任務に就いていた。
だが、徐々に誰が味方で、誰が裏切り者か分からなくなって行き、所属する組織そのものえの違和感を抱いていくのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・実話ベースの作品である。
故に、ハッピーな流れとは程遠く、尋常でない緊迫感の中、徐々に疑心暗鬼になって行くフラメンを演じるトゥーレ・リントハートとシトロンを演じるマッツ・ミケルセンには、全く笑顔がない。
・フラメンは想いを寄せ合っていた筈のケティ(スティーネ・スティーンゲーゼ)が、二重スパイではないかとの疑念を抱いて行き、シトロンも活動に注力するあまり妻と不和になり、別れてしまう。
・二人に指示を出していた腹黒い男、ヴィンター(ピーター・ミュウギン)の真実の姿が明らかになった時に、二人は自分達が行って来た数々の殺害事件の是非を考えつつも、既に止められない所まで来てしまったという表情が切なすぎる。
・最終盤、フラメンが二人が狙っていたゲシュタポの高官、ホフマンも利用するホテルを営む父に3年振りに会いに行った時に言われた言葉。”優秀だったお前が、殺人犯になるとはな・・。”という言葉を掛けられるシーンは観ていて、キツイ。
<ナチスに占領されたデンマークに自由を齎すために活動をしていたフラメンとシトロン。だが、彼らの最期は余りに悲惨である。
エンドロールのテロップで流れる、二人の名誉が回復されたという言葉が、僅かに救いとなる重き作品である。
今作は、劇中の台詞”戦争は、大いなる混乱を齎すもの。”が重く響く強烈な反戦映画である。>
ミケルセン兄弟共演作品
主人公フラメンの相棒シトロン役にマッツ。彼らはデンマークの反ナチスのレジスタンス。国の為に活動している。フラメンは余裕な感じだけど、人を殺したことのなかったシトロンの、殺し屋と化していく様子がとても悩ましい。この辺りのマッツの演技が素晴らしいです。仲間が殺害され、誰を信用していいのかもわからない状況。ゲシュタポのトップのホフマンを狙うしかない。マッツ兄、ラースさんも後の方に出演されてました。メガネを取り、鏡を見つめる悩ましいマッツがカッコ良かった。
わかりやすくはないけど
初めて知った、第二次世界大戦中のナチスに対するデンマークにおけるレジスタンス運動。
何を、誰を信じればいいのかわかりにくかった時代。
自分の信じた道を突き進む以外に生きる方法のなかった時代。
わかりやすい映画じゃない。
だけど、見終わってしばらくしても、涙が出てくるような作品。
1944年、ナチス占領下のデンマーク。レジスタンス組織の一員として...
1944年、ナチス占領下のデンマーク。レジスタンス組織の一員として、国を裏切った者たちを暗殺する任務を遂行していたフラメンとシトロンだったが、ある任務をきっかけに、組織に内通者がいることを知る。疑心暗鬼に苛まれながらも、祖国のために戦い続ける2人は……。
☆☆☆★★ ※ 鑑賞直後のメモから 力作。デンマークの『イングロリ...
☆☆☆★★
※ 鑑賞直後のメモから
力作。デンマークの『イングロリアス・バスターズ』は観て損なし。
但し、事前に或る程度の予習は必要か?
以前に劇場にて、この作品のポスターを指差した外人さんが。「ベリー・ポピュラー・ストーリー」と、同行していた日本人の彼女に語っていたから。ナチス関連に於いては、かなり有名な話なんでしようね。原題は主人公にあたる2人の名前だけに。その名前だけで通用する、日本に於ける【忠臣蔵】的な位置付けで、誰でも知っている話なのでしよう。
映画の終盤で、追い込まれてから展開される銃撃戦は圧巻でした。
2009年 12月26日 シネマライズ down theater
力作なんだけど
ナチス・ドイツの占領下でのレジスタンスは、よく映画になる題材。だけれど、デンマークでの活動は初。フラメンと相棒のシトロンという名前さえ知らなかった。2人がゲシュタポやナチスの協力者を次々と暗殺していくところは、まるでコミックを映画化しているよう。いとも簡単に成功させていく。それが中盤からは、コミックとは1歩も2歩も距離をおき人が描かれていく。欲とか、愛憎とか、不信とか。そして、それに比例してスピーディーさが欠けていく。それは止む得ないことなんだろう。現実はコミックのように単純ではないから。
力作だし、主人公のルックスは魅力的だし、オランダのレジスタンス活動についても興味深かった。けれど、個人的にはレジスタンスの映画を何本もみているので、中盤からの展開に新しさが感じられなかった。実話だから新しさウンヌンをいってはいけないだろう。そうだろうが既視感を覚えた。
『カティンの森』より、先に観るべきだったな・・・
2008年度
デンマークアカデミー賞5部門受賞
デンマーク国内最多動員数を記録
そんな宣伝文句に魅かれ行ってきました。
事前に知っていたのは、
ナチス・ドイツ占領時に
デンマーク国内でレジスタンス活動をした
実話に基づく2人の話。それだけ仕入れた上で上映開始を待ちました。
☆彡 ☆彡
観る順番が逆だったな
その分、衝撃は薄れちゃったな・・・
『カティンの森』1940年が舞台。
今作も、ナチス・ドイツ占領時ですから、時代が近く1944年。
『カティンの森』も実話に基づく作品のため、
どうしても比べてしまうんです。あの衝撃度と比較すると・・・。
◇ ◇
順番を忘れて
作品単体で観るようにしましょう。
実話ベースですし、
この史実は知りませんでしたので、衝撃作には違いありません。
殺害、暴力は肯定できませんが、
そうしなければ生きていけなかった、
その苦しみが、スクリーンから痛いほど伝わってきます。
“なんのため”
作中に、このセリフがよく出てきます。
“祖国万歳”
愛するデンマークのために、命をかけて戦い続けるのです。
◇ ◇
実は、この作品、
一筋縄ではいかないストーリーになっており、
ぶっちゃけ予告編も、わざとでしょうが正確な予告になっていません。
だから、これ以上書くと、
速攻で、ネタバレになってしまいます。
これから、ご鑑賞になる人に、
ひとつお伝えをするなら、登場してくる
人物たちの顔を、よく覚えておくようにしてください。
そうしないと、
終盤、なにがなんだか、
全然、わからなくなります。
☆彡 ☆彡
エンドロールが流れ始める前に、
主要登場人物の、その後が明かされます。
リーフレットを見ると
“デンマークでタブー視されていた史実”とありますが、
デンマーク国内で、大ヒットしたところをみると、国内の英雄であり、
そして、これを取り上げた映画作品は、今作が初めてだったということなのでしょう。
全国にて順次公開も決定しています。
もし2本鑑賞されるのであれば、
今作を鑑賞したあとに『カティンの森』をご鑑賞下さい。
残酷で、衝撃の136分。
また、ここに新たな史実が刻み込まれました。
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