「どこかの国の海外作品と違って、観光映画になっていないのは素晴らしい」アバンチュールはパリで septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
どこかの国の海外作品と違って、観光映画になっていないのは素晴らしい
ただの、だらしのない
SEX好きな男の話にしか見えなかったんですけど(苦笑)
2008年韓国国内で幾つかの映画賞を受賞。
2008年ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品。
そんな華々しい宣伝文句に、
性懲りもなく魅かれて行ってしまったわけですが、
いや、そこまで良いでしょうか、というのが正直な思いです。
あそこまで直球で女性に対し
アプローチをかけられるのが、
同じ男性として羨ましくもあるのですが、
これはいくらなんでも露骨すぎではないかと・・・
(これくらい超アグレッシブに行かないとダメなのかな)。
作中では、
女性から男性にアプローチをかける
逆パターンもあります。ウィットに富んだ会話は
見所のヒトツですが、行き着く先は結局SEXかよ!!
わかりやすく本で例えるなら、
第1章の終了の区切りがSEX、
第2章の終了の区切りもSEX、
第3章の終了の区切りもSEX、
は~い、続きはリピートモードで、って感じでした。
区切り表現、
他には作品には不釣合いな
仰々しいクラシック音楽が流れます。
そのときの映像が、一コマコメディのようで、
食事中にはとてもお見せできないようなものもあり、
かなり笑えたのですが、劇場が静かだったので、口を押さえて必死に堪えました。
◇ ◇
リーフレット、
劇場に貼ってあった資料を読むと、
賞を獲るだけのエピソードが2つありました。
①フランスオルセー美術館内を撮影
名画「世界の起源」を鑑賞するシーンがあります。
同美術館、滅多に撮影許可がおりないそうなんです。
今回ホン・サンス監督、フランスで絶大な人気を誇っており
撮影が快諾されたそうです。たしかに、なんとも表現しがたい
絵画であると同時に、この作品を象徴するためにあれほど、
ぴったりと当てはまる絵画は、きっと他にはないでしょう。
②画学生役を演じたパク・ウネさん。
原田夏希さんに雰囲気の似た美人。
韓国国内の映画祭で新人女優賞受賞。
そんな彼女、今作予算の都合でノーギャラだったそうです。
主人公がベタ惚れする女子画学生を演じられていましたが、
これだけかわいかったら、そりゃ男性ほれますわな(苦笑)
★彡 ★彡
〈 生きる道を探そう 〉
〈 すべてを捨てて出直す 〉
SEX、SEXと書き続けましたが、
そんななかでも、心に残るセリフはありました。
おふざけになりきらず、要所はキッチリおさえてありました。
中でも、一点、
日本映画との比較で感心したのが、
パリで撮影したにもかかわらず、観光作品になっていなかったこと。
オルセー美術館といった名所も出てきますが、あとは
パリの公園、町並み、欄干、ドーヴィル郊外など、
普段&日常の姿がメインになっていました。
だからなのかな?
パリで撮影されているはずなのに、
浮世離れしておらずリアリティを感じたのは。
女性同士の駆け引き、複雑な恋心、
男性の弱さなども、実にテンポよく、
時にコミカルに、時にシリアスに描かれていました。
あと、監督のこだわりでしょうか。
主人公の男性、いつも町を歩くとき
オレンジ色のビニール袋を片手にぶら下げていたんです。
あの中身がなんだったのか、気になって仕方がありません。
軽い気持ちでフラッと立寄るのにお薦めの作品。
あっ、そうそう。韓国ラブコメ系。
珍しく深い三角関係がありませんでしたよ(苦笑)