「美味しい人生。」食堂かたつむり ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
美味しい人生。
なんとも不思議な世界観を味わった。
原作は読んでいないし、これが食に関する話なのか、
親子愛を念頭に描かれた話だったのか推測が難しい。
おそらく監督自身がどう描こうかと迷ったような、
そんな足跡すら感じとれるファンタジー系ドラマ。
まず冒頭の、絵本のような可愛らしい描き出し。
女の子ってこういう系好きだよな~なんて思ってたら
フワフワとした唄まで流れ始める。
極彩色が見え隠れし始めて、あ、そういう系ですか?
と思っていると、後半でグッとくるドラマに早変わり。
今作自体が料理のようにコロコロと味わいを変え、
観る側の驚きを誘うが、そこで好き好きが分かれそう。
この映画を美味しいと思えるかどうかに…。
私はこの世界観が美味しいと思えた方だった。
想像力を掻き立てるものが様々に配置され、
エ?と思うような描写が絵本仕立てに見えてきたり、
かと思うと昭和ドラマのような色合いも見え隠れする。
幸か不幸か、人間は美味しいものを口にすると
ホッとできて幸せを満喫できることを再認識する。
そもそも私が食べること大好き♪なせいもしれないが
命の源はそこにあるのだから感激せずにいられない。
とはいえこのドラマは、
ほんわかした雰囲気のまま終わるのではなかった^^;
うわ、そうきますか?という展開が後半に用意され、
不意をつかれて涙が出てしまった。
余貴美子の怪演は本当に素晴らしく、彼女の饒舌と
柴コウの無口がいい比率でこの親子に配分されている。
眼力(かなり強いですからね)だけで演技のできる
柴コウの巧さはなかなか。料理の手さばきも良かった。
エ?食べちゃうの!?的なショックを感じる人もいる。
似たような作品が最近もあったけれど…^^;
が、私には残酷というより全てに感謝せよ。の気持ちが
料理に表れていたと思うのだけれど…これも様々かな。
(ジュテームスープっていう、ネーミングが素晴らしい。)